※佐久間が残念

「あー…」
練習を終え、着替え終わった佐久間が低い声を出す。しかし誰も声をかけない。かけたら酷い目にあうと分かっているからだ。
「あ゛ー」
しかしそれも気にせずに佐久間は更に大きな声を出す。佐久間は俺や成神などをちらちらと見ていたが二人は決して佐久間の方を見ようとしなかった。時々「辺見」やら「成神」と声が聞こえたが怪奇現象ということにしておく。
「どうしたんだ佐久間?」
未だによく現状が分かっていない源田が佐久間に声をかける。待ってましたとばかりに佐久間が口を開いた。
「源田、俺円堂が好きなんだよ」
「え!!それは知らなかったな。」
知らなかったお前は異常だよ、そう思いつつ佐久間のロッカーを見た。外見は普通だが、中にはたくさんの円堂の写真と鬼道の写真がべたべたに貼られているらしい。昔そのロッカーを開けてしまった者は超次元サッカー試合で命を落としかけたそうだ。そして同性愛をスルーする源田は流石である。
「んでどうすれば円堂が手に入るかと思ってな」
「ああ」
源田はほのぼのとした空気を纏って佐久間の話を聞いている。お母さんみたい、と洞面が小さく呟いた。
「拉致換金して●●が●●の●●を円堂の●●に●●すればどうにかなるんじゃないかと思ってるんだ。」
どうだ、なんて小さく笑う佐久間は見た目だけは整っている。だからこそ中身の残念さがよく目立つのだ。
「…佐久間」
源田が眉を潜めた。源田は下ネタが嫌いなので、きっと少しは叱るだろうと思っていた。
「…●●とか●●ってなんだ?」
正直、ガッカリした。辺見ガッカリ。そういえば源田はお上品な奴だったよ、。最近まで性のことなんて保健体育で習う程度の知識しか知らなかったしな。
「●●とか●●ってのは××を××するってことだ」
ケロリとした様子で佐久間が言う。本当顔が良いだけに実に残念だ。佐久間のファンの女子達は佐久間のこんな姿を見たらどうするのだろう。俺にしとけよ。
「…××とは?」
源田お前はもういいから帰れよ。何粘ってんだよ。お前今口に出した単語辞書で調べてみろ、死にたくなるから。
「だから××は△△ってことだよ」
部室内に淫語が響き渡る。佐久間と源田以外無言なので更によく聞こえるのだ。
「うーん…、正直よく分からないがとりあえず応援するぞ!」
す ん な よ !
源田は絶対意味が分かっていない。もし分かっていたら俺はもう源田が怖い。
「やった!源田はやっぱいい奴だ!」
そう言うと、着替え終わった佐久間はニコニコ顔で部室を出ていった。恐らく雷門にでも行くのだろう。
「源田先輩」
「何だ?」
成神がぼそりと呟く。
「佐久間先輩が犯罪者になったら三割くらい先輩のせいですからね」
源田はよく分からないという顔をして首を傾げた。成神、俺も同意見。


(佐久間先輩ってアウトかセーフかでいったらぎりぎりアウトッスよね)
(ガチアウトだろ)



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