俺と円堂は何から何まで合わない、と思う。理由はたくさんあるが、大まかに言って3つ。
まず、生まれから違うのだ。円堂は小さな頃から周りに愛され撫でられ、心配をされて、笑って大きくなっていった。比べることもないが、俺は小さな頃以外にいい記憶がない。父が出ていく後ろ姿や母の引き攣った笑みは未だに頭の片隅に鎮座して、俺の顔が歪むのを楽しみにしているのだ。
次に性格だ。育ちで性格は違うと言われるが、彼女は少し異端だ。とにかく笑う、笑う、笑う。何が可笑しいのか分からないけれど、口元は常に半月のように孤を描いている。馬鹿みたいにきつい坂ダッシュの特訓の後も汗を拭きながらにこにこしていた時、俺は絶句してしまった。「疲れたな」とへらりと言う彼女の影に思わず「お前は馬鹿か」と呟いてしまったくらいだ。その笑いと明るさは比例していて、人を巻き込んではまたあははと笑う。全く意味が分からないものだ。飴細工に似た歯を見せ腹を抱える彼女につられて、周りも笑う。この選抜メンバーでいるのは数週間しかないというのに、そんなに愛想を振り撒く必要なんて無いのに、円堂は誰かの肩を叩いて励ますのだ。俺はそんな無駄なことはしたくない。平均して八十年の人生の間の、ほんの少しを共にする人間と触れ合う必要があるなんて思えない。そう言ったところで彼女は「友達はずっと友達だ!」と訳の分からない円堂理論を振りかざすのだろう。その様子が目に浮かぶようで、何だか笑えた。
極めつけに、趣味趣向も全くの正反対だ。サッカーでさえ、彼女の好きなプレイと俺の好きなプレイは違う。勝つ、と勝てればいい、は大きく違うのだと耳にタコができる程円堂に言われたが、考えは未だ変わっていない。ほんの少し控えたくらいのものだろう。また、俺は本を少し読むが、円堂は活字を見るとすぐ寝てしまう。音楽だって彼女は明るい曲が好きだけれど、俺はそれも嫌いではないが、落ち着いた曲の方がよく聞いている気がする。食べ物だって、彼女がプチトマトを喜んで食べているのを見て顔をしかめたくらいだ。全く合わない、一致するところがない、それなのに。

「それじゃあ不動、1時半な。」
なんでお前はシューズの新調を俺に付き合えって言うんだ。他の奴をなんで誘わねえんだ。話だって弾むわけじゃねのに、どうしてわざわざ隣町まで靴を見に行くんだ。それと、どうして、どうして。


(俺は楽しみにしてるんだよ!)


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ねこのさん
→こんにちは!お久しぶりです…!最近ツイッターに行けていないのですが、お元気でいらっしゃいますでしょうか?
10万打本当にありがとうございます!素敵な小説と褒めて頂くのは、お世辞でも本当にうれしいです!少しでもねこのさんに癒しと萌えを差し上げることができるならもうこんな幸せなことはないです。
前回のフリリクも、ありがとうございます!リクエストをして頂くことはすごく有り難いです!
不動×♀円堂の片思いっぷりが余りにも出せてなくて申し訳ないです…!いつでも書き直し受け付けます。
応援だなんて本当有り難いです!!リクエストありがとうございました!


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