これの続き


これで一緒に残業はめでたく10回目。わーい。なんて心の底から泣きそうになりつつ、書類にサインをした。南雲課長はとっくに仕事を終え、こちらをじっと見ている。帰るか手伝うかどちらかお願いしたいものだ。
「終わりました…。」
最後のプリントに目を通して、ふうと溜め息をつく。お疲れの一言もなく、「遅い」という矢が心臓を一突きした。もっと仕事が出来る部下はいるだろうが!俺を残したのは完全な課長のミスだ。
「早く着替えろよ。」
「はい?」
南雲課長が書類を机の上で整えながら言う。ついに仕事だけでなく生活にまで口を出されるようになってしまった。何たるストレスだ…これからもエスカレートして終いには昨晩の夕食のバランスにまで口を出されるようになるのだろうか。
「もう遅えから送ってく。仮にも女なんだから何かあったら困るだろ。上司の責任にされても嫌だしな。」
最後の一言がなければ喜んだものを。溜め息をつきつつ「ありがとうございます」と小声で言う。何であの人モテるの?

「基山がお前のこと褒めてたぞ。」
沈黙は気まずすぎると必死に話題を考えていると、横を歩く課長がポツリと言った。
「基山…部長ですか?」
「ああ」
部長とは、優しくて紳士で格好いい、これまた人気な男性だ。南雲課長とは正反対なくらい人柄が良い。そんな彼と南雲課長は幼なじみらしく、よく二人で何やら話している。幼なじみならもっと性格も似ていいものじゃないのだろうか。
「一生懸命で可愛いってよ。目腐ってんなアイツは。」
ケケ、と意地悪く笑う課長の背中を強めに叩く。いてえっ暴力女、と上から声が降ってきた。
「つーかお前、のんびりしてっけど終電は?」
「あっ」
慌てて時計を見る。終電発車まで後2分、ここから駅までどんなに急いでも5分はかかる。
「…ないです。」
「お前は馬鹿か。」
南雲課長が本当に阿呆くさいといった表情を浮かべる。言い返す言葉が見当たらず、一人うなだれる。
「んじゃあ、俺ん家来いよ。」
サラリと課長の口から零れた言葉が耳を駆けぬけ、脳にぼそぼそと話しかけてくる。事態を飲み込むまで10秒はかかった。
「…は?」
「何疑ってんだボケ、お前になんか何もしねえよ。玄関ぐらいは貸してやるってんだ。このまま見殺しにすんのも後味わりいし。」
「あ、ああ…はい…いいんですか」
「ああ。手なんか出さねえよ馬鹿」
そう言うと南雲課長は、立派で大きなマンションを指して「すぐそこだ」と言った。この人、もしかしていい人だったりするのか?


次の日ベッドの上で目覚めた時思ったことは、南雲課長は嘘つきで極悪人だなあということだった。


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匿名様
→はじめまして!南♀円リクエストをしていただいて凄くうれしかったです。気に入ってた設定でしたので…!リクエストありがとうございました!

ねね様
→こんばんは…!100000打本当にうれしいです!!(*´∀`*)
この度はリクエストありがとうございます!自分の好み満載な設定でしたのでそう言って頂けて幸せです(^//^)
社会人っぽい感じになっていたでしょうか…?ジェットコースターのような展開で申し訳ないです(^o^)/職場の飲み会でお持ち帰りされる話とか、二人で一緒に出張する話とか寧ろ私が見させて頂きたいです…!誰か書いて下さらないかなチラッチラッ
またいつか続編書かせて頂きたいです…!書き直しいつでも受け付けてます!
応援励みになります…!リクエストありがとうございました!


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