ちくちく刺さるような痛みが皮膚に広がっていく。ただ街を二人で歩くだけで、そんな感覚がするのだ。誰かがこちらを見て指をさして笑っているような気がする。誰かがチッと舌打ちをした気がする。隣の円堂は何にもないように笑っているから、これはきっと自分の幻聴なのだろう。円堂と付き合い始めたその日から、この妄想じみた幻聴が止んだことがない。

「最近、具合悪い?」
円堂が自分のベッドに腰をかける。二人だけの空間、誰の視線も感じない部屋にほっと息を吐く。円堂の憂いを持つ目がこちらをゆらゆら捕らえた。
「ん…そー見える?」
「ああ。落ち着きないっていうか、なんだろ。」
円堂はそう言って首を傾げた。反動で流れた髪が、さらりと茶色い輝きを持って揺れる。それを見て、何だか泣きそうになった。
「なんかあるなら言えよ。俺はお前の恋人で、友達で、それからキャプテンなんだから。」
円堂の潤った目の中に、自分の眉が下がった顔が映る。円堂なら馬鹿にしないし、ちゃんと聞いてくれる。目を見た瞬間はっとして、それから口に何かが込み上げてきた。
「俺、円堂のこと好きだよ。でも、俺らって両方男だろ。」
ぽつりぽつりと言葉を零す。円堂は俺の緑の髪を指先で弄ぶように撫でた。
「やっぱりおかしいのかって最近思いはじめて、だって、中学から付き合ってる同性のカップルっていないっていうし、やっぱ長続きしないんじゃって。」
不安が尽きない。彼の周りにいる人達は男女構わず皆魅力的で、だから一層こんなことを考えてしまう。本当に好きなのに、ごちゃごちゃと頭が回った。
「…緑川は何が言いたいんだ?別れたいってこと?」
あっさりした言葉が返された。怖くて円堂の顔が見れない。自分からそんなことを仄めかしておいて、今更だとは思うけれど。
「…円堂の邪魔になるよ、俺。」
そこまで言った瞬間、円堂が腰に思い切り抱き着いてきた。よろめく体を片腕で必死に支え、もう一つの腕を崩れ落ちそうな彼の肩に回す。
「…円堂?」
「俺はこうやってるときがすごい幸せだ。それに迷惑ってかけ合うものであって、回避するもんじゃない。俺だって同じだ。それくらい緑川が好きだよ。中学から付き合ってる奴らがいないなら、俺達が一番乗りになれるじゃんか。俺、お前が別の奴と腕組んで教会にいるの見たくないよ。」
円堂がぱっと顔を上げて、鼻を俺の胸にこすりつけた。
「…円堂。」
「何だ?」
「かっこいい。抱かせて。」
「いいよ。」
もう視線なんか気にならない。円堂が俺の腰をいっそう強く抱きしめて、不意に笑いそうになった。


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匿名様
→はじめまして!おとこまえんどうという呼び方にすごくときめきました…!の割に意味がわからない話で申し訳ないです(;▽;)
書き直し受け付けてます^//^リクエストありがとうございました!


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