人気のない電車はいつもより広く見えて、がたんがたんと揺れる音も大きく聞こえる。隣で小さく欠伸をしたヒロトは、こちらを見てにっこり笑った。
「寝ててもいいよ、起こすから。」
「んー…、いいや。」
ヒロトの肩に頭を預けながら呟く。一気に近くなった彼の体温と自分が、何だか融合していくみたいに思えた。
「ありがとう。」
ヒロトが言う。腕にはめた時計の短針は、まだ5を少し過ぎたくらいだ。普段ならこの時間は柔らかい布団に包まって暖かく眠っている。こんな固いシートと寒い車内にわざわざいる理由は、ヒロト以外にないだろう。
「んで、今日はどこ行くんだ?」
ヒロトからメールがあったのは一昨日のことだ。一日付き合ってくれないかという内容を見た時胸が跳びはねた。なぜなら、彼から出かけようと言われたのが初めてだったからだ。
「小さい頃父さんと姉さんと言ったテーマパークがあってね。少し遠いけど、どうしても円堂君と行きたかったんだ。」
ごめんね、そう言って眉を八の字にしたヒロトを見て小さく微笑む。うれしかったのだ、あの遠慮しがちなヒロトがこうやってわがままを言ってくれたのが。
「全然、むしろうれしいし。」
にやけた頬もそのままに言葉を発すると、声も笑っているみたいに聞こえた。
「ほんと?」
ヒロトは疑うように、それでも弾んだ声で言った。彼は好意を素直に受け取らない、いや受け取れないきらいがある。それが彼の生い立ちに関係しているかは知らないし、知ってどうすることもないだろう。
「…昔父さん達と行った時ね、本当に楽しかったんだ。ジェットコースター、メリーゴーランド、観覧車。時間が経つのが早くて、あんなに明るかった空があっという間に暗くなった。帰るよって急かされながら見たあの景色、夜の中にぽっかり光が浮かんでる風景、今でも忘れられない、本当に綺麗、幻想的でさ。その時思ったんだ。次ここに来る時は自分にとって特別な人とにしようって。」
ゆっくりと、それでも緩慢さを感じさせない口調でヒロトが言った。彼と視線がかちあい、思わず目が細くなる。
「俺、円堂君に会えてよかったって、辛いこともあったけど、今が本当に幸せだって、そう思ってるんだよ。」
言い聞かせるみたいに呟く彼はいつもと同じ柔らかい表情をしていた。胸の奥から足の指先までがじわじわと温まっていく。寒いはずの電車内はいつの間にかふわふわとした空気を保ってそのままでいる。彼が自分に向けた言葉が耳の奥で繰り返される。こんなに嬉しくなるような言葉を自分は貰ってもいいのだろうか、自分は彼にこんな言葉をあげていないのに。
「…好きだ。」
本来言葉選びに悩み抜いてから出さなければならない気持ちが、一気に口から溢れ出た。ヒロトはそれを聞いて、本当にうれしそうに笑った。


--------------
青田様
→こんばんわはじめまして〜!10万打本当にありがとうございます(*´∀`*)私も私の書く小説も大好き…!?うわああああい恐縮です!!!
リクエストはヒロ円で幸せそうな二人とのことでしたが…期待に添えてない雰囲気ぷんぷんで申し訳ありません(^o^)/幸せそうな雰囲気が少しでも伝われば!いい!なと…すみません
質問のほうもありがとうございました!お洒落のおの字もなくて申し訳ありませんんん!!!(´;ω;`)ヒイイイ
うれしいお言葉をたくさん頂いてなんといえばいいのか…!リクエストの書き直しいつでも受け付けます!ありがとうございました!


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -