私の好みの女性は大和撫子だ。本来、日本女性しとやかであるもの。楚々とした笑みをたたえた口元につやつやと濡れた烏のような髪の毛、しなやかに動く手元。最近はそんな女性が少ないので全く嘆かわしいことだ。本当に、嘆かわしい。

「また円堂守か。」
リビングでヒロトがにこにこ電話をしているのを見て、ひっそり溜め息をつく。晴矢も苦笑いしながら、私と同じような何ともいえない顔をした。
「でもサッカーの話しかしてねえんだよな。」
年頃の男女にしては色気がない。そう仄めかすような晴矢の言葉を聞き流しながら頷く。ヒロトはこっちをちらりと見てにっこり笑うと、「風介にかわるね」と強引に私に受話器を押し付けた。話すことはないと返そうとしてもヒロトは遠ざかって笑うだけだ。
「…もしもし」
「ああ、涼野!元気か?」
「まあね、君は?」
「元気だぜ!なあなあ涼野、今度遊ばないか?」
弾んだ声にほんの少し頬がゆるむ。それと同時に、またサッカーかと呆れたような声が漏れた。
「いいよ。」
「ありがとう、楽しみにしてるな。」
受話器の向こうから円堂の笑いが聞こえる。それから一言二言かわして、ヒロトにまた代わった。
「円堂なんて?」
晴矢がテレビのチャンネルを変えながらこちらを見る。
「今度遊ぼうってさ。」
「遊ぼう?」
本当に不思議そうに晴矢が言った。ああと頷いて冷蔵庫から牛乳を出す。コップにとくとく牛乳が入る音が終わると、晴矢が笑った。
「サッカーしようじゃなくって?」
俺とヒロトは少なくともそう言われたけど。そう続けた晴矢は、テレビに視線を移したもののにやにや笑っていた。

あんながさつでお転婆というには元気すぎる男友達のような人間にときめいている私は一体どうしたというんだ。



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