彼と出会ってから今日までの時間は、とても短く感じられた。実際短かったとも思うが、俺が感じた時間は本当に短い。ニッポンのことわざか何かで、一日千秋、という言葉があった。あれと逆だ。だから今、守達を見送りに行く空港までの足取りはすごく思い。守に、行かないでくれ、と泣いて懇願したい。隣のジャンルカが俺の肩を叩く。それから「女々しい男は好かれないぞ」と俺の心を見透かしたように言った。頬が少し熱くなる。マルコがにやにや笑っていた。

「来てくれたのか!」
空港で俺達の姿を見た守は、主人をまっていた子犬のように顔を輝かせた。ジャンルカが「ああ」と返事をして俺の顔を見た。
「こいつが円堂にどうしても会いたいって言うから。」
ジャンルカの頭を軽く叩く。ジャンルカは可笑しそうに笑った。
「…ありがとう」
特に気にした様子もなく守が笑う。少しだけ淋しそうな顔をしていた。
「本当はもっと一緒にサッカーしたかったぜ」
守が握手を求めてくる。俺よりも先に手を出したのはにこにこ顔のアンジェロだった。アンジェロは意外とこういうところが素早いのだ。
「手紙書いていいかい」
そう言うと、守は歯を見せて笑って、大きく頷いた。
「また会おうな!」
そうだね、とは返事をしたけれど、何となく、もう彼には会えないんじゃないか、なんて思った。

彼らが乗った飛行機がイタリアの空を浮かんでいる。マルコが頭を撫でてくれた。泣いた。






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