「何でなんだろうなあ。」
小さくそう言うと、風介が馬鹿にしたみたいに鼻で笑った。彼は一度仲良くなると遠慮がなくなる。その毒舌ゆえに晴矢とは喧嘩ばかりだ。
「晴矢が君と付き合っても何も変わらない理由なんてすぐ分かるじゃないか。」
わざとらしい演技がかった口調で風介が言う。男にしては細くて白い人差し指がぴんと立った。
「君が男っぽくて色気がないからだよ。」
なんということでしょう、この一言がこんなに傷付くものだと思わなかった。短パンのユニフォームから出る傷だらけの日焼けした足は確かに女らしくない。風介のほうがよっぽど綺麗で白いというものだ。しかし君、この伸ばした髪を結ぶピンクのきゃわいいゴムが見えねーのかこら。似合わないってことか。
「…くっそー。」
腹の方から湧き出る怒りは、風介へのものと晴矢へのものがある。スッパリと俺を馬鹿にした風介と、俺への態度が付き合う前からずっと変わらない晴矢。何だかむかついて足元の大きめな石を思い切り蹴ると、「野蛮だ」と風介がまた嘲笑った。決めた、奴のジャンプの可愛い女の子が出るとこだけ付箋しておひさま園のリビングに放置してやる。

「次の日曜空いてるか?」
引いて駄目なら押してみろ、と言うわけで俺は南雲をそう誘った。いつもよりスカートを短くして、春奈に髪を綺麗に整えてもらって、女子らしさ可愛さをアピールしつつだ。なのに、南雲は照れもせずただ「おう」と言っただけだった。何という適当な返事。これは前俺が「緑川って毛根太そうだな」と言った時の返事と同じに聞こえるぞ。
「…どこ行きたい?」
めげずに可愛い声を作って聞いたが、南雲は「どこでも」とどうでもない風に言った。これでもかというほどさらけ出した女子っぽさは南雲の琴線にかすりもしていないらしい。
「…。」
何だかむかついて、心の中で溜め息をつく。なんだよ、俺がこんなに努力してるのに、気付いてもいないんじゃないかこのチューリップ頭。
「…この馬鹿矢!馬鹿晴矢!」
いらつきに任せてそう叫ぶと、南雲は一回瞬きをして、それから髪の色と同じくらい顔を赤くした。インクを垂らしたようにじわじわ染まっていく頬は見ていて可哀相なくらいだ。つか、今なんで赤くなった?実はMか?嫌な事実を知ってしまった。
「い、今、晴矢って…」
南雲が口をぱくぱく動かす。確かにそう言ったが、頭には馬鹿とついていた。彼の耳は都合よく出来ているようだ。
「言ったけど」
「…言った…よな。」
そう呟いて晴矢は赤い顔のまま俯いてしまった。え、えっ、まさかこいつ今の名前呼びに照れてんのか。
(こいつのツボ分っかんね〜)
彼のトマト色の耳を見ながら、そっとスカートの丈を直した。


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匿名さん
→七万打ありがとうございます!南♀円ギャグになっているでしょうか…円堂さんが可愛くなくてすみません…。書き直しいつでも受け付けます!リクエストありがとうございました!

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