※高校生
※同じ学校


ふんふんと小さく鼻歌を歌いながら階段を上がる。上る度にぎしぎしという階段は、自分が生まれる前からあっただけあって随分ぼろっちい。五年前建ったばかりの新しい校舎での快適な昼食を断って、このボロ校舎にくる理由は一つだけ。鍵が壊れているため屋上に自由に出入りできるのだ。何とかと煙は高いところが好きだからな、と以前拗ねたような風介に言われたことを思い出す。あいつはあれで自分が寒がりで暑がりだから、屋上での昼食に参加できないことをさみしがっているのだ。面倒臭いやつ、と一人喉の奥で笑う。昼のお決まりメンバーである俺と円堂とアツヤは、なぜだか気が合う。俺とアツヤのふざけた言い合いに円堂の間のぬけた言葉が被さる感じが、一緒に話していて楽しい。恐らく二人は既に屋上の隅で弁当を突きながら「南雲おせーな」とでも言っていたりするのだろう。四階まで階段を駆け抜けて、屋上のドアに手をかけた時だった。一部が透明ガラスになっているドアからは、こちらに背を向けて座っているアツヤと、その横で仰向けになって寝ている円堂が見え
た。円堂は数学の課題が今日提出だと前に嘆いていたから、昨日寝れていない分を補っているのだろうか。そんな二人をおどかしてやろうと、音を立てないよう注意しながら少しドアを開けた瞬間、アツヤの溜め息が聞こえた。ちらりと見える横顔は困ったように眉をひそめている。その表情は彼の双子の兄とそっくりで、いつもあんな顔してりゃあいつももっとモテるのになと一人笑った。
「…円堂起きろよ、南雲遅いし先食おうぜ。」
アツヤが円堂にそう呼びかけたが、彼は全く起きる気配がない。安定したリズムで胸と腹が上下している。ふうと息を吐いたアツヤが円堂の肩に手を伸ばして−そのまま停止した。
「…ん?」
よく見ると、アツヤの顔が真っ赤になっていた。手は円堂の肩から10センチほど離れたまま宙をさ迷っている。あーだとかうーだとかアツヤが言葉を漏らして、それから手を怖ず怖ずと引っ込めた。さっぱりして強気な彼らしくない行動だ。
「触れるかよ…!」
恥ずかしい、と聞こえたのは幻聴だろうか。アツヤの顔は可哀相なくらい赤い。何だその恋してる、しかも純情な乙女の反応は。確かに俺達は花も恥じらう17歳だが、男だぞ。というかそれ以前にお前、円堂のこと、

それ以上は見てられなかった。屋上のドアの前で一人うずくまって溜め息をつく。嘘だろ、おいおいアツヤ君。円堂を好きってお前あいつは男だ。そして俺らも男だ。世間一般的に同性同士の恋は異端らしいから、今なら間に合う考えなおせ。いやつーか円堂ってとんだ物好きだな。あいつの取り柄ってあの馬鹿みたいな明るさだけだろ。あいつを好きになる物好きの顔が見てみたいって思ってたのに。
「…鏡みれば一発解決なんだけどな!」
小声で一人呟く。ライバルが友人って、ドラマみてえと自分の冷静な部分がひとりごとを言った。


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らむちゃん
→七万打ありがとう〜!カウンターを見て悲鳴をあげてくれるらむちゃんを愛してます。好き。
南円アツサンド好きさんがこんな身近にいたとは…!!今度語ろう^^←
円堂さん寝てばっかでごめんね…^▽^書き直しいつでも受けつけます!リクエストありがとうございました!


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