最近何だか憂鬱で、更に今日は一段とけだるい。はあー、と自然に出てくる溜め息を色で表すとしたら灰色だろう。はっきりしない、所々濃かったり薄かったり斑な灰色。青い中に太陽がぽっかり輝く空も、緑が風でさわさわ揺れる木も、きゃらきゃら笑う小学生達のランドセルも、この溜め息で全部灰色になる。こんなに憂鬱なのに、その理由は思い当たらない。ずしんと肩に乗る重みは自然と歩行速度を緩めさせた。はあー、また溜め息が喉をずるずる伝って出てくる。この憂鬱さはこういう風に登校している時だとか授業中だとか、一人でぼんやりしている時に感じるものだ。一週間前…おひさま園に遊びに行った時からずっと。
「学校サボろうかな…」
ぽつりと口から出た言葉に自身で驚いた。もう少しで試験発表だし、今日は調理実習もあるし、何てったって部活がある。サボろうだなんて一瞬でも考えていなかったのに、勝手に言葉が口をついた。無意識にそう言うくらい自分は弱っているのだろうか。はーあ。


結局一日気分は晴れずに、足どりも重いままに終わった。授業中に当てられて間違えたり、調理実習では塩と砂糖を危うく間違えそうになって風丸に怒られたり、部活ではこけて怪我をしたりと寧ろ憂鬱さは朝より増している。最早出てこなくなった溜め息が胸をぐるぐる渦巻いて気分が悪い。喉の辺りが重くて、それをごまかすように指でまだ小さい喉仏を押した。
「…早く帰ろ。」
皆と別れた帰り道はただでさえ寂しいというのに、こんな気分だと涙まで出そうになる。中々進まない足に鞭を打って速度を上げる。と、後ろから肩を叩かれた。
「よお。」
低めだけれど幼さを含んだ声に振り向くと、黒いパーカーにジーンズというラフな格好の南雲が立っていた。心臓がどくんと動く。
「あれ南雲じゃん!どうしたんだよ?」
「姉さんに言われてお使いだよ。ったく、あいつらみんな姉さんがそう言った瞬間俺おいて逃げやがった。」
その言葉を聞いて、その風景が頭にぱっと思い浮かんだ。きっと一番に逃げたのはヒロトか涼野で、それを合図のように皆が立ち去ったのだろう。ぷっと噴き出すと、南雲が怒ったように顔を赤くした。
「お前、笑うな!」
「ごめんごめん。」
注意されたところで笑いは収まらない。口を押さえてそう言うと、彼はふんとそっぽを向いた。髪の毛が暗くなった空に映えて一段と赤く見える。
「じゃあそろそろ行くわ、またな」
そう言うと南雲は側に止めてあった銀色の自転車に跨がって颯爽と去っていった。一人ぽつんと残されて、それでも口から笑みが消えない。
「またな、か。」
いつの間にか肩の重みも足のだるさもどこかへ飛んでいって、ふわふわと落ち着かない気持ちになった。家路につく体は勝手に跳びはねる。何でかなんて理由は、今、どうでもいいじゃないか。


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ちかさん
→はじめまして〜!七万打ありがとうございます^//^このサイトで南円を…!?エッいやっうわっめっちゃうれしいです…!!うごわああ!!透明感のある文章…!?むしろ濁ってます!
青春…というよりただ南雲さんと会えなくて憂鬱な円堂さんですみません…書き直しいつでも承ります!リクエストありがとうございました!



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