「大丈夫大丈夫なーにもしてないよ」
ミストレさんをたたき起こして問い詰めると、そんな間のぬけた声が返ってきた。普段編まれている髪の毛がさらさらと腰にかけて流れている。寝起きの彼はいつもに増して中性的な雰囲気で、一瞬だけどきりとした。しかし彼の性格を知る今、それには怯まない。
「じゃあ何で俺半裸なんですか!」
「暑そうに見えたから脱がせてあげたんだよ。」
感謝しろとばかりに踏ん反り返るミストレさんを見て、言い返す気力が消え失せていく。あー、と細い声を出してもう一度ベッドに俯せた。ミストレさんが笑う声が聞こえる。
「大丈夫、守の太ももに黒子が2つあるなんて誰にも言わないから。」
「見たんですか!」
「ばっちり。写メって守の携帯の待ち受けにしたよ。」
「うわ本当だ!何で自分の携帯の待ち受けを自分の足にしなきゃならないんですか!消しますよ!」
「えー」
「消します!」
ミストレさんの辞書には肖像権という言葉もプライバシーという言葉もないようだ。
「…守っ」
不意にミストレさんがそう言った。振り向いた瞬間、ミストレさんの顔がすぐ近くにあった。
「おはようのキス」
わざとらしいくらいの笑みを浮かべたミストレさんは、ベッドから離れて洗面所へ行った。
「…おわあああああああ!?」
男との初めてのファーストキスは、味とかそういうのを気にする余裕もなく終わった。

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スキンシップ激しいミストレさん


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