やっぱり僕らは、少し夢を見てたみたいだ。キャプテンの目からぼろぼろ落ちる塩水がシーツの上に落ちていくのを見ながらそう思った。彼を好きな気持ちは嘘ではない。けれども、自分たちは周りと違う存在ということに優越感をもっていたりしていた。あまり認められていない恋をしている自分たちに酔っていたのかもしれない。落ち着いた振りをして、分かった振りをして、大人な振りをして。思春期の自分と対立するような意見に、寄り掛かって甘えていた。
「ごめんね。」
キャプテンは泣きじゃくって、それでもゆっくり首を振った。焼けた肌についた水滴は汗か涙かよく分からない。快活でサッカー馬鹿のキャプテンは今姿をひっそりと消して、この状態をやはり泣きながら見ているのだろうか。目の前のキャプテンは、キャプテンであってキャプテンでない。
「俺は、勝手に、もっと優しいものを、期待してて、吹雪は悪くなくて、」
ひっくひっくと嗚咽まじりの声は幼稚園児のようだ。あの頃と変わらないひたむきな涙。
「僕も期待してた。勝手に。」
キャプテンが好きだ。でも、それだけでどうなることではなかった。女と男だったらこんなことはないのだ。彼らがいるのはここよりもっと優しい世界。僕らがいるのは、彼らから見てどんな世界なんだろう。
「ごめんね」
シーツは既に涙でびしょびしょになっていた。夢を見て浮かれていた僕たちはもうどこにもいない。今ここには、辛いのに離れられない矛盾した泣き顔がいる。


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セックスに思い悩む二人


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