まだ夢の中にいるであろう彼を思って、小さく手を合わせる。それから窓越しに太陽を見て頭を下げる。マモルと出会う前からの習慣は、いつの間にかマモルのための習慣になってしまった。毎日毎日神様に彼と出会えたことサッカーが出来ることを感謝する、そんな習慣だ。ドアを開けて食堂までの廊下をスキップしていく。
「おはよう!」
眠そうに目をこするジャンルカの肩を叩いて通り過ぎる。「声がでかい」と怒られたが、彼は朝に弱いだけなので気にすることはない。食堂のドアを開けて「おはよう!」と言うと、皆が微笑んで挨拶を返してきた。静かな廊下とは真逆に食堂はざわざわと騒がしい。
「今日の朝はオムレツだそー!」
「「オムレツー!!」」
食事当番のマルコの一言で、食堂はさらに賑やかになった。いつの間にかやって来ていたジャンルカも嬉しそうに皿を用意している。
「フィディオ、今日はどんな練習?」
アンジェロがにこにこ笑いながら隣に座った。その一言で皆がこっちを向く。
「紅白戦でもしよっか」
「やったー!」
アンジェロがぴょんと跳ねる。皆もそわそわとしだしたので、何だか笑いが漏れた。
「じゃあそのためにもしっかり朝食は摂らなきゃね!残さず食べなよ!」
マルコがそう言って俺の前にオムレツを置いた。ほかほかと蒸気の上がる黄金はとろりと皿を転がっていく。
「ありがとう!」
今日は何をどういう風にサッカーしよう?ポジションを変えてみるのもいいな。オムレツをフォークで切り、そのまま口に入れる。ふわりと口に溶けていくその味は流石マルコというべきだろうか。窓の外の、太陽に照らされる地面を見ながら一人微笑む。グラウンドを走る土の感触、風が頬をすり抜けるあの冷たさ、汗の匂い、どろどろのユニフォーム、それを笑いあうみんな。想像するだけでどきどきと鼓動が速くなる。それは、マモルのことを考えるときと同じ感覚だ。
「ようし、頑張ろう!」

神様、マモル、ちゃんと見ててね!


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