※数年後
※同居設定

始めの頃はヒロトにまかせっきりだった料理も、最近少しずつ上達してきている。醤油ベースの出汁で煮込まれたジャガ芋はほくほくと湯気を立てていた。今日みたいに雨でサッカーが出来ない日は、俺が作ったりしている。
「こんな風でいいか」
皿に盛りつけた肉じゃがを机に置いた途端、電話が鳴った。受話器を取った後に、番号を見ていなかったことと、そのことで前ヒロトに注意されたことを思い出した。ごめんヒロト。
「もしもし」
そう言った所で、心の底で小さな悪戯心が湧き出てくる。
「基山です」
男にしては少し高い声を生かして裏声で言ってみる。新婚みたいだ、なんて思ったところで顔が少し赤くなった。これはセールスか悪戯電話かなんかで、知り合いじゃあありませんように!今更ながら恥ずかしくなってきて、何故あんなことをしたのだろうと悔やむ。結果は、最悪なものだったが。
「…ふっ、くく…ま、守?」
受話器から聞こえるのは笑いを我慢しているヒロトだ。後ろでは、恐らく南雲と涼野であろう笑い声も聞こえる。顔がどんどん熱くなっているのが分かった。
「…はい…」
沈んだ声で返事をすると、耐え切れなくなったのかヒロトが爆笑し始めた。今すぐ電話を切ってやりたい位に恥ずかしいし腹が立つ。ずっと笑っているヒロト(+2人)に痺れを切らして、こちらから話しを出した。
「で、何だよ?」
ヒロトはそれでもしばらく笑っていたが、苦しそうに話し始めた。
「あ、いや、今から晴矢と風介、家に連れて帰っていい?」
「お好きにどうぞ!」
そう言ってガチャンっや電話を切る。顔は依然熱いままだ。
「…じゃあもう一品くらい作っとくか」
あとちょっとは濡れて帰るだろうからタオルを用意しておこう。足を動かしながら、やっぱり新婚みたいだと思ったが、首を思い切り振って頭から消した。

早く、帰ってこねーかな。



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