かんかんと容赦なく照り付けてくる太陽、珊瑚礁が見えるくらい透き通った水色の海、光が当たる度きらきら白く光る砂浜、みずみずしい赤色の立派に咲いたハイビスカス。あとは三線の音でも鳴っていれば、どこぞの旅紹介番組でも見ているかの様に思える景色だ。すうっと息を吸うと、微かに甘い香りがした。
「なんか、ここが同じ日本って信じられねーや。」
隣で団扇を扇いでいる綱海に言うと、彼は黒い肌と対称的な白い歯を見せて笑った。白いシャツに首から垂れた汗が染みていく。海辺に作られた簡単な掘っ建て小屋は古いものの、日を凌ぐという点では大いに役立っていた。腰をかけた木のベンチがぎしりと音を立てて少し沈む。
「俺らここで会ったんだよな」
ぽつりと、何でもない風に綱海が呟く。それを聞いて口角が勝手に緩んだ。理由は分からないけれども、とにかく嬉しくなった。
「もう大分前みたいに思えるよ」
海水で濡れた髪の毛からは、しっとりと潮の匂いがした。茹だるような暑さで、体を伝う液体が海水か汗か分からなくなる。その感じがとても気持ち良かった。
「晩飯何食いたい?」
「んー、ステーキ!」
「はは、じゃあどっか食いに行くか」
綱海はそう言ってすくっと立ち上がった。濡れた水着が太ももにぴったりとくっついている。程よく筋肉のついた腕をこちらに差し延べて、綱海が目を細めた。
「帰ろう」
綱海の家はここからすぐ近くだ。手を繋ぐほどの距離でもないのに、と口の中で小さく笑って綱海の手を掴む。熱を持った手だけれども、熱いと文句を言う気分にはならなかった。
「俺、ここ好きだ」
綱海の横を歩きながら言う。海は傾きかけた日の光を浴びて、眩しいくらいだ。
「なら連れて来てよかったぜ」
綱海がからから笑った。ビーチサンダルの間に砂が挟まって気持ち悪い。それでも海を見ていたらどうでも良くなった。
「ずっと、綱海が見てきた海だしな。」
そう言って歩みを止める。不思議そうに振り向いた綱海の目をじっと見つめて、それから笑った。
「これからは二人で見ていこうな」
こんな恥ずかしい、思ったままの言葉が言えたのは、きっとこの土地の魔力のせいだ。綱海は大きく頷いて、それから照れ隠しの様に大きな声で笑った。


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ウッ…持病の沖縄行きたい病が



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