※ちょっと注意

彼の腕に爪を食い込ませたまま横に引く。スッと音がして、円堂の体からはどす暗い血ではなく、何かさらりとしてキラキラ輝く液体が出てきた。
「学校でいい成績なんだってな、軍人として将来有望。」
円堂が随分冷めた口調で呟く。明るい普段の雰囲気からは、想像もつかないくらいだ。
「あーあ、止まんねー」
彼の腕からは変わらずさらさら液体が漏れていく。円堂の目は茶色く潤んでいた。
「…悪い」
小さく呟く。円堂はふっと馬鹿にしたように笑った。
「なあ、何で今俺に傷を付けたんだ?」
彼はそう言って俯いた。丸いラインの顎を思わず蹴り上げてやりたくなる。
「上からの命令とか指示とか、お前は何でもそれに従うんだろ。」
「お前に傷を作ったのは俺の意思だ。何にも従ってなんかいない。」
カッとなって言い返す。彼はにっと笑って、俺に背を向けた。
「お前、いつか俺を殺すな。」
円堂の声が耳を通り抜けていく。自分は、今彼の背中を蹴り飛ばして首筋にナイフを当てることだって出来る。
「なあ」
振り向いた彼の腕からは生臭い血がボタボタ垂れていた。見慣れているため別に動揺はしない。それなのに、いつの間にか顔をしかめていた。
「殺す時は、命令ではない」
姿勢を正して言うと、円堂はまた小さく笑って、それきり何も言わなくなった。

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いつか命令とかで円堂を殺さなきゃならないかもしれないから、その前に自分の意思で殺そうと思ってるSカバさん


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