※完全パラレル
※雷門高円堂とエイリア学園ヒロト
※色々許せる方向け

「今日ねえ、痴漢にあったんだあ!」
そうにこにこしながら言うヒロトに、呆れを通り越して気味悪さを感じた。
「きもっ」
コイツそういう趣味だったのか。ちらりと風介を見ると、彼は興味なさそうに持ち込み禁止のはずのゲームをいじっていた。
「え?ああ、違うよ。痴漢にあったのを喜んでるんじゃない。」
変態じゃないんだから、とヒロトが吐き捨てる様に呟く。何でだろう今すごくヒロトを殴りてえ。
「ふふっ」
思い出し笑いを抑え切れないのだろう、ヒロトが口に手を当てる。細い体を嬉しそうに揺らすヒロトは今日は特別おかしい。何かと持て囃される顔はにやにやとだらし無く、いつもより頬が紅潮していた。
「晴矢、聞いてくれる?」
そう言うとヒロトは近くの席を引きずって俺の横に座った。元の席の主である女子は、基山君が私の席に座ってる〜、と至極嬉しそうに友人と話している。お前の人生はそれでいいのか。
「朝、オッサンに痴漢されたんだ」
ヒロトが溢れんばかりの笑顔で言う。前に痴漢にあったと言っていた時は苦虫を100回噛んだような顔だったのに。
「もー、最悪に気持ち悪かった!しつこく尻撫でられるし、コイツからいくらもぎ取ってやろうって思ってたら、いつの間にか手が前に来たんだ!」
外には青い空が広がっている。何でこんな清々しい朝に、俺はヒロトがオッサンから痴漢にあった話を聞いているんだろう。
「もういい加減腹立って足踏もうと思った瞬間、オッサンの手が止まったんだよ」
風介はこちらとゲームを交互に見ているが、意識は完全にゲームに飛んでいる。音的にモンハンだろうか…あ、死んでやんの。やーい。
「そしたらな、なんと!すっっっごおく可愛い天使…いや妖精みたいな女の子がオッサンを羽交い締めにしてたんだ!」
ヒロトがそう明るい顔で言った。オッサンを羽交い締めにする女の子ってなんだ。メスのゴリラか。
「ツインテールでね、目がくりくりでね、オレンジのバンダナしてて、あ、雷門の制服だった!あとサッカーボール持ってたなあ…」
うっとりした目で言うヒロトに少し驚いた。モテるのに結構女には冷めていたから、正直なところ意外だ。
「そんで、鈴みたいな声で『大丈夫か?』って俺の方を見たんだ!その目のなんて可愛いことか!男前なのに可愛いって!!!」
ヒロトががたりと席から立ち上がった。何でものらりくらりとかわす要領のいい奴、そんなヒロトの印象ががらがら崩れていく。
「その後一緒に駅員さんのところにオッサン連れてってくれて…もうっ最高…!!お礼するためにに今度改めて会う約束しちゃった!」
ヒロトがばんばん机を叩く。すげえぞヒロト、お前今この瞬間クラスで一番の注目の的だ。
「あっそ。で、相手名前なんていうの」
キラキラした死んでない目のヒロトにそう言うと、ヒロトはこれ以上ないくらいの笑顔をした。
「円堂守、だよ!」
ヒロトは何がうれしいのかスキップしながら廊下に出ていった。大方リュウジにでも自慢しにいくのだろう。
「…円堂かよ」
円堂が中学の時に知り合ったサッカー仲間だということをヒロトに言うべきか黙っておくべきか。その瞬間チャイムが鳴って、俺は考えるのをやめた。


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