円堂といると寿命が縮まる気がする。心臓がどきどきしたり、泣いたり笑ったり、表情筋がフル活用だ。そうなると、ああ生きているなあ、と思える。円堂といる時だけ時間が3倍くらいの速さで進んでいって、気が付いたらサッカー部に入って1年経っていた。
「風丸は、いつも俺に付き合ってくれるな。」
円堂がそう言って笑う。彼はただの中学生で、なのに俺にとっては掴めない人間。幼なじみで、誰よりも彼を知っていると思っていたのに、いつの間にかそうでは無くなった。
「ただ円堂についていってるだけだ」
本心のまま言うと、彼はまたにこりと笑った。この時間さえもあっという間に感じられて、それが口惜しい。その分会えない時間が長く感じられるからだ。
「俺、風丸に感謝してるよ」
いつかは会えなくなるのだ。きっと円堂はごくたまに俺のことを思い出して、元気かなあと考えるくらいだろう。それとも他の奴といてそんなことを考える暇もないかもしれない。
「俺だって」
彼に教えてもらったことはたくさんある。サッカーの楽しさとか、団結することの凄さとか、努力は報われることだとか、全く数え切れない。
「ありがと、風丸」
せめて彼の考える最高に楽しかった時代がこの時で、その光景の中に俺が含まれていますように、そう思った。


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