※ヒロトとフィディオの口が悪い


チームの買い物に来ていたフィディオは、『マモル』と同じジャージを着た赤い髪の少年を見て、アッと声を上げた。その声で振り向いた少年もまたぱっちりと目を見開いた。
「君は…」
「フィディオ・アルデナ。君は基山ヒロトだろ?」
フィディオがそう言うと、少年、もといヒロトは苦々しい顔をした。
「円堂君から聞いたのかい?」
そんなヒロトを気にせず、フィディオは笑顔で頷く。ヒロトは更に顔を歪めた。
「あのさ、最初に言っておくけど俺は君と仲良くすることはないからね」
ヒロトがそう吐き出すように言うと、フィディオは瞬きをして、首を傾げた。
「何でだい?仲良くしようよ」
同じサッカー好き仲間じゃないか!そう快活に笑うフィディオに対しヒロトは無表情だった。
「だって君、円堂君好きだろ」
ぴしりと音を立てて空気が凍る。フィディオの笑顔もそこで凍ってしまった。
「それに敵チームの副キャプテンだし。ライバルと仲良くする必要性が見当たらないね。」
フィディオの眉間にどんどんシワが寄っていき、笑顔がひくひくと引き攣ったものになる。ヒロトは無表情のまま、口端をわずかに緩めた。
「そうか、君もマモルが好きなんだ」
フィディオの声から明るさが消え、先程よりも数段低い声になる。ヒロトのこめかみがピクリと動いた。
「ねえ、フィギュアだかフェラ●オだかアルデンテだか知らないけど、その名前呼びやめなよ。君、イライラする。」
過去に自分のしていたことを棚に上げ、ヒロトが呟く。フィディオは口だけでにんまりと笑った。
「もう一回言ってみろよ、このベタベタベチャベチャ粘着野郎が。」
「何度でも言ってやるさ。君を見てるとイライラするんだよ。」
言い返そうとしたフィディオの元に、マルコの声が聞こえた。「帰るぞー」という間延びした声に「今いくよ」とフィディオがいつもの明るい声で返事をする。フィディオが再びヒロトを見た時、ヒロトは和やかに笑っていた。
「円堂君に指一本触れてみろ。●●●してやるから。」
「君にされるとか吐き気どころか死にたくなるね。」
そう言ってやると、彼は舌打ちをしてどこかに行ってしまった。フィディオが小さく笑う。
(うわあ、今オレ、すっごく可哀相!ライバルに虐められる薄幸のヒロイン、まさにオレ。スーパーヒロインオレ。でもヒロインは負けなかったら幸せになれるんだもんね、ざまあみろ。マモル、俺負けないよ。負けないから代わりにキスしたり●●したり●●して欲しいなあ)
そんな妄想をしている内に、マルコが近付いて来て「遅い」と言われフィディオは殴られた。

(恋に恨みひがみ憎しみ妬みその他ドロドロは付き物である)


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