ミストレーネさんのマネージャー業は物凄くハードだ。彼はテレビに映らない日がないという売れっ子で、しかも歌手から俳優そしてモデルもこなすという完璧っぷり。正直な話、この一ヶ月でだいぶ疲れてしまった。スタッフは多くいるのだがマネージャーは自分一人しかいないのも原因だ。それもこれも彼に気に入られたから、あの日に彼を殴ってしまったから。最初はMなのかとゾッとしたが、普段の高圧的な態度を見たらどうやら違うらしい。自分を構ってくるのは本当に興味なのだろう。だが、彼のマネージャーは色々と勉強になるからまた厄介だ。

「ふうん、北海道ね。いいけど」
今回の仕事は、同期にデビューした俳優のバダップさん、タレントのエスカバさんと北海道でグルメリポートをするというものだ。異色の組み合わせだが、この三人でやる番組はかなり人気がある。意外と天然なバダップさんに突っ込むエスカバさん、そして我関せずなミストレさんのやり取りが面白いらしい。まあミストレさんに気に入られた日から俺はあのやり取りを笑えなくなってしまったが。
「で、途中ゲストとして吹雪さん達がいらっしゃるんですが…」
「え、あの双子来んの?…まっいいや、そろそろ本格的に牽制始めようと思ってたから。」
よく分からなかったが、はあ、と返すとミストレーネさんはにこりと笑った。最近はこの笑みがただ恐ろしい、誰か助けてくれ。
「部屋は一緒ね」
「え?誰と誰がですか?」
ミストレさんがまた笑う。無邪気とは程遠い恐ろしさを感じる。
「何ボケてんの、俺と君だよ。最近疲れてるみたいだからマッサージでもしてあげようか?」

死んだ。

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すみません
次回、どきどき守の貞操死守編


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