気が付けばまた貴方を思ってる



好きな人のこと考えてて寝れてないの☆なんて行動をキャラバンのマネージャーとかがしたら非常に可愛い乙女だ。

残 念 な が ら し た の は 俺 で あ る。



手洗い場の備え付けの鏡を見る。目の下にはくっきりと隈が浮かんでいた。
「寝れなかったのか?」
洗った顔をタオルで拭きながら染岡が言う。心配してくれる辺り、こいつはいい奴だ。こいつになら円堂に関しての的確なアドバイスをもらえる気がする。今度思い切って打ち明けてみよう。
「あー…まあな」
適当に返事をして、そのまま足をグラウンドへ向ける。足取りが重く、ふらふらするが、別段気にすることはないであろう。それに見学したいと言ったって理由が理由だ。
「アツヤー」
遠くから、士郎の声聞こえてくる。声が何重にも反響して頭がくらくらしてきた。ばったり倒れてしまいそうだ。
「あぶないよー」
その声が聞こえた瞬間、パッカーンと音がして、俺の後頭部にボールが直撃した。後頭部の痛みがじんわり広がっていき、意識が薄れてゆく。こんな時に、こんなことが起こるものなのか。今日の俺は可哀相なくらい不運だ。
「だーいじょうぶー?」
アホ面ならぬアホ声の士郎が声をかけてくる。俺はばったりとグランドに伏してしまった。意識が薄くなってきて、話すこともままならない。ドタドタと周りのメンバーが近づいてくるのが聞こえる。だが、その中でも円堂の足音だけは判別できた。
「大丈夫かアツヤ!」
そう言うと円堂は、俺を軽々と、世間一般的でいう、お姫様だっこをした。

マネージャーだけでなくメンバーからも黄色い悲鳴が上がったのが聞こえた。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -