一緒に年越しをしないか、円堂がそう電話をしてきた。本当はおひさま園でぬくぬくと寝ていたいのもあったが、それでも了解した。これも惚れた弱みだろう。風がびゅうびゅう吹き抜ける公園で、俺達はベンチに腰掛けていた。冷やされたプラスチックに長時間座るというのは拷問のようなものだ。だが、今日は不思議と苦痛に感じない。円堂は隣でにこにこと笑っていた。夜の公園は、景色が暗くて普段と違う風に見える。白い息が口からすうっと出ていった。
「ごめん、寒いよな」
円堂は手の中におさめていたカイロを俺に渡そうとした。それを片手で拒み、もう一度握らせる。一瞬だけカイロの熱が指に触れて少し驚いた。
「ありがと」
円堂が短く言う。寒さのせいかしらないが、鼻が赤くなっていた。
「色んなことがあったなあ…」
円堂がぴったりと俺の腕にくっついた。彼は普段しゃんとしていて、その反動かたまに甘えたなところがある。
「俺と南雲も、初めて会えたし」
密着したところから温かさが広がっていく。遠くから鐘の音が聞こえてきた。
「それがすごくうれしい」
この一年で出会った俺と円堂の間柄は、短い付き合いだが親しいといえる。自分は彼が好きで、彼も自分が好きで、その出来事が365日の中で起こったのだ。
「来年も、よろしくな」
「ああ」
円堂は手袋を外すと、俺の手を握った。俺も小さな力で握り返す。
「好きだ」
ごおん、と鐘がまた鳴った。来年もいい年になるといい。こんな幸せな一年になるといい。

-------------
大晦日ネタです(´∀`)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -