ここだけの話、実はというと俺はあまりイタリア料理が好きではない。別に大嫌いという訳でもないが、大量に食べるとチーズの濃厚な味にうえっと吐き気がする。やはりあっさりした味がいい。パスタやピザより、日本人なら米を食え。それに健康な体を保つのに日本食は最適だ、…と母ちゃんが言っていた。そんな日本食>イタリアンな俺の最近の夕食はずっとイタリアン。そして最近2キログラム太った。それもこれも全部、マルコのせい。マルコがイタリアンを作る特訓をしてるせい。味見をしてくれないかという頼みだから別に断ってもいいのだが、「どう!?」とキラキラした笑顔で言われてはどうしようもない。世界大会が始まってから毎日マルコの家に招待され、もうマルコのお母さんとも仲良くなってしまった。たまには秋達の作る夕食も食べたくなる。しかしマルコの誘いが断れない、何故かって、マルコが好きだから。
「今日は自信作!チーズたっぷりのマルゲリータピッツアだ!あ、ルッコラ大丈夫?」
ルッコラというのはピザの上にのってる葉っぱのこと、というのはこの前マルコから聞いた。うんと頷くと、マルコは嬉しそうにピザを切り分け、皿に置いた。
「はい、どうぞ」
ぷんぷんするチーズの香りに頭が一瞬くらりとしたが、何とか持ちこたえて笑顔を作る。熱いピザをはふはふ言いながら食べると、好きではないはずの味に、何となく幸せを感じた。
「おいしい」
そう言うとマルコが笑った。それを見て、自分は少しイタリアンが好きになってきたのかなと思えた。


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