「結婚しよう」
そう言って臨也さんは女の子なら誰でも憧れるきらっきらの大きなダイヤモンドを、季節外れな分厚いコートのポケットから取り出した。海に反射された夕日が臨也さんの顔を照らして、整った顔が更に綺麗に見える。しかしここで残念なお知らせが二つ。一、別に僕らは付き合ってない。二、僕らは友達でもない。ただの知り合いで、格好いいけど変な人だなあと思っているだけだった。結婚とかそういうものにたどり着いたことはなかった。大体自分と臨也さんは別の世界の人間だと思っていたから。テレビで見てるような、遠くから見ている、そんな間隔。
「少し、意味が分かりかねます」
そう言うと、臨也さんはにっこり笑った。ダイヤモンドは相変わらず臨也さんの手の平できらきらと光っている。
「嫌だと思った?」
そう言われたので、首を振った。そうだとは思わなかったからだ。寧ろ、すとんと納得してしまいそうだった。
「ならそれは運命なんだよ」
突然海の水が消えて、僕らの身体が浮いた。さっきまで乗っていたかっこいい赤のオープンカーも浮かぶ。それから、ぶわりと急上昇していく。お気に入りの黒のスカートがはためく。
「僕ら、どこまで上昇するんでしょう」
ぽつりと呟く。臨也さんはポーカーフェイスのまま、口をゆっくり開けた。
「ちがうよ。落ちてるのさ。君が考えてるのと反対で、落ちてる。」
臨也さんはそう言って、同じく浮いているペットボトルを手にとり口に含んだ。
「辛いなら、寝てなよ」
いつの間にか臨也さんの持っていた指輪が僕の指に嵌まっている。それをじっと見ながら、ゆっくり目を閉じた。
「起こしてくださいね」


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ふわっふわ乙女〜な小説を書きたかったんですが無理でしたぎゃふん
恋に落ちる話ってことで^^恥ずかしい


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