不動の昔を俺はよく知らない。不動も喋らないから俺も聞けないままだ。俺がイナズマジャパンのキャプテンでも不動がイナズマジャパンの参謀でも、結局俺達は14歳なのだ。母ちゃんから生まれてから14年間、俺がこんな風にサッカーが出来るのも親に庇護してもらっているから。でも、不動はどうなのだろう。不動の親のことは詳しく知らない。それでも、不動にどんな影響があったかは何となく分かる。不動は俺みたいに甘くない。厳しいけれど芯が強い、そんな奴だ。そんな風に褒めたら不動は大抵小さく鼻で笑うけど。
「お前だって俺と同じ様に生きてたらそうなったさ。」
違うだろうなあとは思ったけど敢えて黙った。不動がちらりと俺を見て、それからまた口を開く。それを閉じて、開いて、そんなことを繰り返した後、また口が開いた。
「確かにお前は甘いけど、甘ったれじゃあねーよ。」
一応褒めてくれているのだと分かり、笑みが漏れた。不動に見えない様に口を手で隠す。だって笑ったら、きっと不動は俺のことを馬鹿にする。さっきの言葉を撤回されて、甘ったれと言われてしまう。しかし彼に褒められると、もっと言われたくなって仕方ない。不動に甘やかされたくなる。だから、俺も沢山不動を褒める。自分に返ってきますようにと。
「いや、不動はすごいよ」
そう言って不動の肩を軽く叩いた。不動は呆れた顔をして、彼の唇がほんの少しだけ孤を描いた。目の回りがほんのりと赤い。
「そーかよ」
辛い時に何も言えなかった不動を見て、自分は彼の何になれるだろうと考えた。答えは思い浮かばなかった。

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この二人を勝手に
自分に厳しいコンビだと思ってます


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