好きだと気付いた時はいつだっただろうか。きっと季節は夏だったと思う。円堂のことを考えると、気分が晴れやかになるからだ。心臓の重量感がなくなる感じがして喉をすっと冷たい風が通っていく。それなのに顔は熱くなり、首から背中を汗が伝っていった。考えるだけでそうなのだから実際前にするともっと緊張する。そのため少し無愛想になってしまい、目が合わせられずそっぽを向いてしまう。だけども円堂は特に気にした様子を見せなかった。いっつもの様子で笑って俺の肩を叩く。そんな奴だ。
「円堂はお前を分かってる。」
着替えが済んでベンチに腰をかけている鬼道が言った。口元には小さく笑みが浮かんでいる。
「もしかしたら誰よりも分かってるかもしれないな、あいつは人のことがよく分かる奴だから。」
ジャージを羽織りながらそう言う鬼道はほんの少し楽しげだった。
「そうかもな。」
小さく返事をすると、鬼道は返事の代わりに少し首を回した。
「よし、練習するぞ!」
部室の外から円堂の声が聞こえた。鬼道が立ち上がって、部室のドアを開ける。四角形の中に収まる空は潤いを持った青色だ。
「お、二人共早く来い!」
笛を片手に持ったまま笑う円堂はやっぱり夏みたいだなあと思った。




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