眠る時間が好きだ。何も考えることのない、眠る時間が好きだ。サッカーで疲れた体を癒すこの時間が。
円堂に誘われて適当に始めたサッカーも、今では大好きの部類に入る。僕は昔から器用だったから、もしかしたら、一緒に世界に行けるかもしれないと思ったのだ。もっと早くにサッカーを始めていたら彼の隣に立てただろうか、彼と勝利を笑い、抱き合って喜んだり出来ただろうか。
シャワーを浴びて冷たくなった体からは石鹸の匂いがする。鼻を近づけて嗅いでみると、ほんの少し円堂の匂いに似ていることに気がついた。全く変態くさい思想に自分自身少し呆れる。今頃円堂は何をして、誰といるのだろうか。少しでも僕のことを考えてくれたりしているのだろうか。布団の上に寝転がる。洗ったばかりの髪のせいで枕が濡れてしまったが、今はもうどうでもいい。携帯を取り出しメールの履歴を眺める。何十件かした後にようやく円堂とのメールを見つけた。とりあえず保護をして、また携帯を閉じる。彼が恋しくなったらこれを見よう、そう決めて。深い溜め息を吐いて目をつむる。今から目を閉じて数分もすれば、円堂のことを考えずにすむ時間が訪れる。でも、もし夢にも出てきたら、メールしてしまおうとも思った。




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