恋というものは、少し美化されすぎていやしないかな。世の中カップルに優遇する仕組みになっていて、ちょっとロマンチックなことがあると皆が目を輝かせて「素敵〜」って言う。お互いプレゼントを用意した話だとか初めて手を繋いだ話だとか、綺麗な話題ばっかり選んで、その後ろの何かを見ようとしてない。例えば恋した相手が実は嫌な奴だったり、尻軽だったり、そんなことだってあるさ。相手の体や金目当てで付き合っていることもある。それでも皆それを無視して、起こった奇跡の様なロマンチックな甘ったるい出来事にしか目を向けない。子供の憧れるシンデレラ、あれの原作はグロテスクなオチがあるんだよ。心のきれいなシンデレラだなんてちゃんちゃらおかしいよね。日本で広まっているのはそんなものをすっ飛ばしたきれいな話なのに。でも皆、自分もああなりたいとうっとり頬を染めてる。ちょっとドラマの見すぎじゃないのかな。その人達だって相手の裏側を見ちゃえば、きっぱり振っちゃうだろうに。人間ってそこら辺の切替がパッキリしていて、そこがまた怖いんだよね。百年の恋も冷めるなんて言葉は、いやそれに限らず言葉なんてその様な事例があるから出来るのであって、つまり百年の恋も冷める様な出来事があったんだよ。夢をぶち壊された人間って、どう思うんだろう。「それでも貴方が好き!」とか「貴方がどんな人でも好き」なんて牛乳砂糖たっぷりのコーヒー以上に甘い考えの人なんて少女漫画の世界の住人くらいのもんじゃないんだろうか。おめめキラキラ睫毛ばしばしの可愛い女の子が涙目で言ってそうな台詞。ああでも例外がいるね。例えば、僕とか。

「で、吹雪は結局何が言いたいんだ?」
キャプテンがサッカー雑誌から顔を上げて僕を見た。延々僕が語っていたのを一応聞いてくれてはいたらしい。
「サッカー以外には意外と冷たいキャプテンでも好きってことさ」
「恋がどうとかって話は」
「ただの前フリ」
そう言うと、キャプテンは「あっそ」と溜め息をついてまたサッカー雑誌に目を落とした。そんなキャプテンも好き。


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いちゃついてるだけです


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