予習して座学を受けて復習して予習して座学を受けて復習していたら、いつの間にか僕は三年生になっていた。黄緑色の忍装束はまだ何となく慣れない。数馬にそれを言ったらくすくす笑っていた。

「浦風先輩!」
声をかけられてはっとした。先輩と呼ばれる様になってもう二年目だというのに、と心の中でため息をつく。そして声の主の方へ向く。そこにいたのはにこにこ笑う乱太郎だった。忍装束ではなく私服を着ている。
「どうかしたのか?」
そう声をかけると、乱太郎はまだにこにこ笑いながら、懐から何かを出した。
「これ、よければ」
懐から出たのは美味しそうな団子だった。包み紙には、この前新しく開店した団子屋の名前が書かれている。
「え、いいの?」
そう言うと乱太郎はにっこり笑って頷いた。よく笑う子だなあと思う。しかし、委員会が同じという訳でもなく特別仲がいいという訳でもない自分にくれるとはどういうことだろう。そんなことを思いつつ乱太郎を見ると、乱太郎はそれを察したのか困った風な顔をして言った。
「何であげたか、ですか?」
そうずばりと言った乱太郎に少し驚きつつ、ああと返事をする。乱太郎はにこりと笑った。
「考えてみてください」
そう言って乱太郎は去っていった。後にはぽかんと口を開ける僕だけ残される。去り際の乱太郎の赤い顔が頭から離れない。
「どうしよう」
こんなの予習してないよ!



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