花を買った。花びらが黄色くて透き通るくらい薄くて、ふんわりと花弁が開く綺麗な花だ。名前なんて知らない。ただ、円堂にあげるならこれがいいだろうと直感で選んだ。別段今日は円堂の誕生日でも何かの記念日でもない。ただ自分が花をあげたくなったから。
「よかったら、貰ってくれ。」
そう言って花束を渡すと、円堂は困ったように笑って「男子中学生に花かよ」と呟いた。彼の着ているジャージと黄色の花はミスマッチだ。なのに、何故かしっくり感じる。
「世界大会優勝の祝いとでも思ってくれて構わない」
円堂はにっかり笑って、ありがとう、と歌う風に舌を動かした。あちらで彼は色々大変な思いをしたようだ。それでもキャプテンとして試合を引っ張っていった彼を、本当にすごいと感じた。自分ならと思うと、彼の様に出来る自信なんてない。
「円堂は本当に俺の尊敬する奴なんだ」
円堂のことを好きだと思う。しかし、告白だとかそんな考えにまでは追いつかない。ただ自分は円堂に憧れている、だから側にいたいし親しくなりたい、そう思っているのだ。
「俺も、源田を尊敬してる。」
円堂の言葉の響きには、自分と似たものがあった。俺は特に何も言わずに微笑んだ。円堂もまたそうした。どちらも口を開かないのは、きっとこの後どうなるかを知っているからだ。だからだろう、先ほどから俺の心臓が痛くて速くてしょうがない。


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メルヘンな源田さんが好きです



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