最近よく見る夢がある。俺はサッカーボールを持って、何故か寂れた映画館のロビーに立っている。昭和といった様な、よく言えば伝統のある、悪く言えば古臭い、そんな建物だ。ソファーはところどころほつれていて、カウンターには四十代後半といったところの夫婦が静かに座っている。俺はいつもその夫婦に何かを言って、チケットを一枚買う。どんな映画かなんて知らない。ただ夢の中の自分は心なし嬉しそうに上映場のドアを開ける。映画は既に始まっていて、その画面に色はない。映像の中では、なぜか知らないが不動の姿が映っている。彼はズボンのポケットに手を突っ込んで歩いていて、それが延々と流れるだけ。景色も変わらず何も変化はない。が、俺はボロボロの席に座ってそれをじっと眺める。室内はむわっとした熱気が篭っていて、頬を伝う汗がぽたりとシャツに落ちた。
「それ、よこせよ」
映像の中の不動がこちらを見て言った。いつの間にか立ち止まって正面を向いている彼は、俺の手の中にあるサッカーボールをじっと見ている。俺は驚きもせず不思議にも思わず、そのサッカーボールをスクリーンに向かって投げた。それはするりと彼の元に届き、彼はこちらを向いてにやりと笑い、今度はボールを転がしながら歩いていく。いつの間にか画面には色がついていて、彼の黒い柔らかな髪の毛だとか、頬の下の微かな赤みだとかがよく見える様になった。そこでいつも夢は終わってしまう。もう何度も見た。変わらない内容、変わらない展開。けれども俺はその夢を見た後すごく幸せな気分になるのだった。

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なんか小説の背景とか考えながら書いたんですがよく分からなくなっちゃいました



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