※完全パラレル
※外国組がマフィア
※高校〜大学生くらい

死んだと思われていた爺ちゃんが生きていると聞いたのは半年前だ。親戚の一人がイタリア旅行に行った際に見たと行ったのだ。当然確証などはなく、父ちゃんと母ちゃんも信じてはいなかった。だが、俺一人は何故だか信じていたのだ。だからこそ前々から予定していたサッカー留学を早めることにした。イタリアで、爺ちゃんを探そうと思ったのだ。俺がサッカーを始めるきっかけになった爺ちゃんに、一目でも見たいと思ったから。母ちゃんと父ちゃんは最初は反対したが最終的には認めてくれた。甘いことに、俺は何となく全てうまくいくような気がしていたのだ。だから、
「どういうことなんだ…」
今の状況がさっぱり理解出来ない。場所は暗くて人通りの少ない路地裏、周りには、よく分からない言語を早口で話すスーツの男達。皆俺に銃口を向けていた。がたいのいい男がこちらを見ながら何かいった。どうやら英語のようだが、高校時代英語の授業ほぼ全て寝ていた俺には全く分からない。男は溜め息をついて大袈裟に舌打ちした。分からない、そもそもどうしてこうなったのさえ分からない。俺はただ下宿先に荷物を置いた後イタリアの街を観光ついでに散歩していただけなのに、いきなり連れ込まれて今の状態だ。困ったとかそういうレベルじゃない。相変わらず男達はこちらを見ながら何か言っているし、泣き出しそうになったその時だった。
「君達、何してるの?」
流暢な日本語が聞こえた。と、男達はその声の方向に一斉に振り向いた。何人かの銃口もそちらに向けられる。男達の体の隙間から見えた声の主は高そうなスーツをぴったりと着こなす青年だった。顔は柔和に微笑んでおり、この緊迫した状況に相応しくない表情だ。
「エンドウの孫に何する気?」
青年は整った顔に変わらず笑みを浮かべたままそう言う。しかし声は冷ややかで、どこまでも平淡だ。それにしても何故あの青年は俺の名前を知っているのだ、そう思った途端周りの男達は銃を下ろした。そして、青年を忌ま忌まし気に睨みながらどこかへ去っていった。あっという間の出来事に口がぽかんと開けるしかない俺に、青年が話しかけてきた。
「無事かい?」
青年が笑う。ゆっくり頷くと、青年は本当に安心したようにほっと息を吐いた。
「エンドウ、だよね。俺はフィディオ。」
青年はネクタイを整えると、俺に握手を求めてきた。反射的に手を握りつつフィディオと名乗った青年を見る。それから勇気を出して口を開いた。
「なんで、俺の名前、」
そこまで言うのがやっとだった。フィディオはまたにこりと口を緩めると、俺の手を引いた。バランスの崩れた体がぐらりと傾き、フィディオの胸に倒れ込んだ。
「君の護衛を頼まれたからさ」
フィディオが耳元でそう呟く。俺の顔が赤くなるのが分かった。
「だ、誰に」
そう言ったのと同じ位にピリリと電子音が鳴った。フィディオは俺の体からぱっと手を離すと、携帯をポケットから出した。スピーカーに向かって何か分からない言葉で話している。通話はすぐ終わり、携帯を閉じたフィディオはこちらをちらりと見た。
「君のおじいさん…俺らのボスから頼まれたのさ」
フィディオが白い歯を見せる。するとフィディオはすたすたと歩き始めた。ついて来いと言っている様な気がして少し後ろをついていく。明るい路地に出た瞬間目についたのは黒塗りの立派なベンツだった。
「乗って」
フィディオがドアを開ける。運転席と助手席に、綺麗な金髪の青年が二人座っていた。青い目の青年は俺を見ると、小さく笑った。
「ボスそっくりだな」
助手席のアイガードをした青年もこちらを見てにかりとした。それからぐるりと体ごと後ろを向いてくる。
「ミーはディラン。こっちはマーク。よろしくね!」
ディランといった青年は俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でると俺をじっと見つめた。
「フィディオ、ボスのこと話した?」
フィディオが首を振りながらドアを閉める。暫くして車が動きだしてから、はっとした。
「ど、どこ行くんだ?」
フィディオを見ると、彼はにやりと笑った。それからディランとマークと目配せをする。
「ボスのところ」
「ボスってなんのだよ!」
思わず声が出た。マークが少し驚いた様に目を丸くした。フィディオが喉をクッと鳴らして俺を真っ直ぐに見た。
「マフィアの」
その言葉を聞いた瞬間、目眩がして、日本の風景が頭を過ぎった。早く帰りたいです。


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マリナ様
→こんばんは。この度はリクエストありがとうございます!世界×円堂でマフィアパロということでしたがごちゃごちゃの上にベタで中途半端ですみません…orzうわあああ 精進していきたいです…!ありがとうございました!!


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