ふとした時に、自分と彼は歳が違うのだなあと感じる。今だって勉強をするのも違う教科書で、内容も当然違う。少々難解になった教科書を片手に、円堂はうんうん唸っていた。
「わっかんねー…」
「x=2だよ」
教科書を横目で見てそう言うと、円堂は驚いた様に目をぱちぱちさせた。
「…何で解けるんだ…?」
「予習してるから」
円堂が感心した風に頷いて、それから笑った。物を教わる時に年上や年下という事を円堂は考えない。それは彼の一種の魅力だ。その瞬間は、自分と彼の年の差が埋まったような気がした。
「しっかりしてよね円堂」
そう言って円堂の肩を叩くと、円堂は照れ臭そうに鼻を掻いた。こんなことおひさま園の年上の奴らにしたらどうなるかなんて、想像するだけで恐ろしい。自分としてはこんな軽口も言い合ってみたいのだが。
「リュウジは凄いな」
円堂はシャーペンをくるくる回しながらそう言った。最早教科書には目が行っていない。
「そんなことないよ」
ただ自分は、彼との差を埋めたくて、それをしているだけだ。
「いや、すごいさ」
円堂はそう言ってまた笑った。それから少し机から乗り出して、俺の頭を撫でた。
「よく出来ました」
円堂の温かい手が頭をなぞり、それから離れていった。顔が熱くなるのを感じながら、やっぱり自分と彼の差は埋まらないのだと感じた。

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年下コンプレックスなリュウジ可愛いと思いまして


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