※数年後
大分古くなったクローゼットの中には僕の死体達が入っている。昔に比べ体が大きくなるにつれて、物がどんどん増えていき、そのため他の家具や物は度々新調したが、このクローゼットだけは生まれてこの方買い替えたことはない。家族が新しいものを勧めてきても首を縦に振ったことはなかった。
小学生中学生といつもつるんでいた三人は皆、自分と違うハイスクールへ進んでいった。今の高校には友人もいるし、テストが小難しいという平凡な不平以外の不満は別段ない。だが、何となくぽっかりと埋まらない穴があった。「ゲイくさい」とわざわざ寄り合うことを嫌うカートマンがたまに渋々承諾した時に、四人で集まることがある。話すのは昔と変わらない馬鹿みたいなことだけれども、その時間だけ穴はすっかり塞がれた。後で思い出しては泣きそうな位の貴重な時間だ。
「このクローゼット何が入ってるの?」
ママが言う。別段不思議そうでもなければ興味があるわけでもなさそうな言い方だった。
「死体」
そう小さく呟くと、ママは困った様に笑って「スタンもジョークを言うのね」と言った。
僕のクローゼットには死体が入っている。小さなあの瞬間それぞれを目一杯楽しんでいた、僕の死体が入っている。
(きらきらした泣きそうな夜)