そう言えばあいつは一度も自分に好きだとか何だとか言ったことはない。俺が好きだといった時にあいつは頷いて、ただそれだけだ。
「お前俺のこと好きか」
「ああ」
肯定の言葉は存外たやすく彼の口から零れた。普段の彼の行動から想像できないそれ目を丸くしていると、それに気がついたのか毛利は薄く唇を歪ませた。
「意外か?」
「すげー意外」
言葉を選ばないのはお前の悪い癖だ、毛利はいつもより少しだけ柔らかい声で言った。
「我も少し思い直したことがあった」
「何だよ」
「人はいずれ死ぬ。駒として死んでも安らかに死んでも結局は死ぬのだ。」
「んなこた知ってる。」
「だから、明日我が死んだとしても、気持ちを伝えなかったと空で後悔はしたくない。」
「…あ、そう」
毛利は俺の顔を見ると「貴様顔が赤いぞ」と鼻で笑った。お前の台詞が恥ずかしすぎて代わりに赤面してやってんだ気付けと言うと叩かれた。

俺だって明日が来ても来なくても毛利が好きだよ。



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