ちょうど俺がトイレに行くために起きた午前4時、ぴーんぽーんという間抜けな音が暗い廊下に響いた。昨晩ホラー特集を見てしまった俺は非常に情けないことに物凄く驚いて、母ちゃんと父ちゃんを叩き起こしに寝室へ転がり込んだ。二人は驚きつつ、父ちゃんはゴルフバットを持って全員でそろりそろりと玄関へ向かった。ドアに手をかけて二人を見ると、二人はうんと頷いたので、思いきってドアを開けた。と、目の前にいたのはぶすくれ顔でリュックを背負ったロココだった。

「…で、ダイスケったらそう言うんだよ!信じられないよね!」
ロココはずかずかと家に上がりこむと、自分がここまで来るに至った経由を細かに話してくれた。要約するとじーちゃんと喧嘩して飛び出してきたらしい。「飛行機とかのお金大丈夫だったのか?」と聞くとロココは「ダイスケのタンスからちょっともらったから」と悪い笑顔を浮かべた。
「ああ、まあ、そうにしても…何でわざわざ日本に来たんだよ」
母ちゃんが用意してくれたココアを啜りながらロココを見る。ロココも同様にココアを啜って目を細めた。
「だって日本観光もしたかったし。というかそっちがメインかな?あ、マモル案内してよ。」
殴った。

「わあー、コメだ!」
白米に味噌汁に卵焼きとごく一般的な朝食に、ロココは箸を振り回して喜んでいる。先程まで「マモルが殴った〜」と半ベソをかいていた人間とは思えないくらいの違いだ。
「おいしい!アツコ、すごい!」
「人の親を呼び捨てしないでくれ」
そう言ってみたものの、ロココは聞く耳持たずといったように味噌汁に入ってるワカメを観察している。小さく息をついて、卵焼きを頬張った。
「で、ロココは大体どこら辺を観光したいんだ?」
そう言うと、ロココは慌ててリュックから地図を取り出し、顔を輝かせた。
「もう決めてるんだ!ホッカイドーの牧場と、キョートのマイコさん見て、あとナラのお寺、オキナワの海、えっと後」
手を折りながらわくわくしているロココの唇を軽く指で塞いで、溜め息をついて笑う。
「東京にしてくれ」
そう言うとロココは地図をちらりと見た後、本を閉じた。顔はまだにこにこと笑っている。
「じゃあ、どこでもいいや」
少し機嫌が悪くなったのかと思ったが違う様だ。それしては声が明るいし、やけにニコニコ笑っている。
「何で笑ってるんだ?」
ロココはにやにや笑うと、俺よりも遥かに高い目線を俺に下げて呟いた。
「本当はマモルと行けるならどこでもいいから、嬉しくて。」
そう言い切ったロココは結局三日東京を観光した後お土産をたんまり持って帰っていった。後俺の心も持って帰ったなんていったら少し気持ち悪いかもしれない。いや気持ち悪い。


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もち様
→この度はリクエストありがとうございました!仲良しな感じになったでしょうか…^∀^何かまとまりのない文ですみません\^o^/リクエストありがとうございました!

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