好きだよ、



今日初めて、告白という物をした。テレビでよく耳にする歌やロマンチックなドラマと違って、ただ帰り道でなんとなく「好きだ」と告げただけの話だが。薔薇の花束を用意とか、そんなものもしていない。(まあ花束なんてきっと俺にもあいつにも似合わないだろうが。)そんなものに比べたら俺の告白などどれだけ格好悪いのだろうか。気の利いた言葉さえ言わずに、好意を一方的に口に出して即逃げた。逃げるくらいなら告白しなければよかったのに、と冷静な感情が今になって押し寄せてくる。そんなこと言ったってあれは衝動だった。隣でいつもと同じように笑っていつもと同じような声で喋る円堂を見たら、ああ俺円堂が好きだなあと思って、言葉にしてしまったのだ。自分で驚いた。(円堂はもっと驚いていた)それまで俺は円堂に友情しか感じていなかったからだ。「河川敷に反射して光る夕日の魔力のせいだ」といえば少しばかり格好がつくかもしれないが、結局過去は拭えない。恐ろしいくらいの脱力感が襲ってきて、その場に寝転がった。
「あー」
声ともうめき声とも判断出来ないような声が口から漏れる。男同士で、同じ部活で、幼なじみ。どちらかが女子であればと何度も思った。そうすれば、例えフラれたとしても男同士より気まずくはないだろう。しかし、俺は円堂が好きなのだ。カーペットに大文字のように俯せる。深いため息をつこうと息を吸った途端、携帯が鳴った。画面を覗くと、円堂守の名が書いてあった。息が一瞬止まるような錯覚か起きるくらい驚いた。携帯をとるかどうか少しばかり悩んだものの、やはりこのままではどうにもならないと通話ボタンを押した。
「…もしもし」
「あ、風丸?」
今すぐ「違います」と言って切ってしまいたい衝動に襲われたが、ギリギリのところで踏ん張った。円堂はいつも通り明るい声で、聞こえてる?とおどけた様に言っている。
「……………ああ」
「あのさ、今日のことなんだけどさ」
心臓が大きく跳ねる。今ここで、弁解しなければならない。好きといっても友情の好きだとごまかさなければならない。なのに、言葉が出てこないのだ。
「俺も、お前のこと、ずっと好きだから。」
ぶつ。真剣な声でそれだけ言うと、円堂は電話を切ってしまった。夢だろうか、そう思い頬を抓るがすごく痛い。
「…え?」
携帯の電話帳を開く。今度は俺が円堂に電話する番なのだろう。


あのさ、さっきのことなんだけどさ




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