※吹雪とリカと搭子が何故か同じ学校

「で、デートどうやったん?」
リカがわくわくと肩を揺らしながら言う。一方で搭子は興味なさそうにスポーツドリンクを啜っていた。
「…遊園地で遊んで、その後サッカーした」
ぼそりと呟く。一瞬おいた後、リカは目を丸くして、ありえへん!と声を荒げた。それからずいっと俺に顔を近付ける。
「自分ら付き合おうてどん位?」
「…半年です」
「手は?」
「…二回繋ぎました」
「キスは?」
「…してません」
そこまで言うとリカはがっかりとした様に肩を落とした。こういうリアクションを見たりするとリカが凄く大阪人に見える。搭子もそう思ったのか小さく笑っていた。
「正直ありえへん」
リカは俺の胸を指差して眉間に皴をぎゅうと寄せた。
「アンタそんないいもん持ってんのに吹雪が手を出さんっちゅうことは…円堂が好きじゃないんかそれとも大事にしすぎ…」
かなりショックな発言をさらりと言われた気がする。だがリカは構わず何かを言いかけて、それから意地悪な笑みを作った。
「なあ円堂、ちょっとウチの言う通りにしてみ?」

「キャプテン帰ろっか」
部活終了後いつものように吹雪が声をかけてきた。おう、と返事をしつつリカを見ると、リカはぐっと親指を立てて笑った。
「あ、じゃあお疲れ様」
それが何となく恥ずかしくて慌てて部室を出る。リカが笑う声が聞こえて、吹雪が不思議そうに首を傾げた。
「どうかしたの?」
「なんでもない」
首をぶんぶん振ると、吹雪は納得いかない様だったが、もう何も言わなかった。いつもの帰り道を他愛もない話をしながら帰る。だが、今日の俺にはリカ提督から言い渡された重要な指命がある。何だかもう混乱して自分自身でも何が言いたいか分からない。
「そしたらボールが爆発して…」
「あの、さ吹雪」
吹雪の話を遮り、吹雪の前に向かい合うように立つ。吹雪はきょとんとした顔をした。リカの言葉が頭に浮かんでくる。
『男から来るのを待ってるのがもう遅いんや。まず自分からキスしてみ?』
顔が一気に熱くなる。もう冬も近い寒さなのに、風の冷たさも何も感じない。
「あ、し、失礼します」
半ば無理矢理キスをするために吹雪の制服の襟を掴む。俺と吹雪は身長がほぼ同じなため周りから見たらカツアゲの様に見えるかもしれないと思う余裕は辛うじてあったが、心臓がばくばく五月蝿い。それから吹雪へ一気に顔を寄せると、唇と唇がついたような温かさを感じた。唇を離して吹雪を見ると、吹雪は顔を真っ赤にしている。しかし今日の俺はここで終わらない。またもリカの言葉が脳裏に浮かんだ。
『…それから、襲うんや!吹雪がもしアンタを好きなら喜ぶはずやで!』

「がっ、ガオー!」

手を少しライオンっぽく丸めて大きな声で言う。吹雪は赤い顔のままぽかんと口を開けていた。え?これ失敗?吹雪、もしかして俺のこと、
「ど、どうしたのキャプテン」
吹雪が心底驚いた風な声を上げる。涙が出てしまいそうだ。
「リ、リカが襲えって」
失敗のショックから思わず口から言葉が出る。吹雪は暫く首を捻ったが、いきなり火がついた様に笑い出した。
「そ、それ違う!」
ひいひい苦しそうに言う吹雪を見て、今度は俺が首を捻った。


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将様
→リクエストありがとうございました!変なのになってしまいすみません…^O^もしかしてシリアスでしたら書き直しします!!ありがとうございました!



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