人×吸血鬼




泣く子も黙る極悪非道の吸血鬼とは俺のこと。普段は害のないようなただの学生に化けているが、本当は夜な夜な血を啜りに走る吸血鬼だ。そんな俺は、今盛大なおあずけ状態を味わっている。
「よーっす、南雲」
「おー。」
赤い髪の少年に声をかける。彼の整った顔がこちらを見て、少し緩んだ。名前は南雲晴矢。正直、こんなに美味しそうな人間は見たことがない。というか、きっと俺好みなのだ。味は大体匂いで分かったりするものだが、彼はすごく美味しそうな匂いだ。ほんのり甘くて、なんというか言葉で表せない。今正に俺は彼を食べるために距離を縮めているのだ。そろそろ食べ頃だ。
「円堂、俺の家にサッカーのDVD見にこねーか。」
少しそわそわしたように南雲が言う。絶好のチャンスだ、逃がすわけがない。溢れそうなよだれを拭きつつ頷くと、彼は一瞬にたりと笑った。



彼の部屋に入ってから食われた、いや喰われたのは、南雲ではなく俺でした。



2011/02/11 07:42






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