少し注意な南♀円




彼女のさらさらした茶色の髪の毛は、なんというか、ただそれだけ、という印象だ。髪の毛だけではなく彼女全体がそうだ。名前は円堂守、それだけ。サッカーが好き、それだけ。部活帰りに食べるラーメンも好き、それだけ。俺のことが好き、それだけ。女、それだけ。印象に残ることがまるでない。
「俺は何にもなれないみたいだ。」
円堂がぽつりと言った。男になれなくて女になりたくない。そんな彼女は、異質な存在なのだろう。スカートから覗く白い太ももにさえ色気を感じず、やはりただそこにあるだけという印象だった。
「あっそ」
そう言って縺れ込む様に彼女を押し倒して、それからセックスをした。この行為は彼女にとって自分が女だと思い知らされる行為だ。それなのに、彼女は笑っている。ただそれだけだ。

(俺はお前が必要ないし、お前も俺が必要ない。)



2011/02/11 02:16






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