愛してますだってさ 「素直じゃねーな」 南雲がそう溜め息をつきながら言った。それはこっちのセリフである。ツンデレ格好いい☆なんて周りの女子に持て囃されてちょっといい気になってんじゃないんだろうか。浮かれんなばーか。 「俺帰る」 「えっ、ちょ、待てよ」 コートを羽織りながらそう吐き捨てると、南雲は少し焦った様に言った。焦れ焦ればーか。 「うっさい。帰る。」 靴紐もほどけたままにドアを開ける。冷たい空気が喉に入り込んで来たが、頭は依然冷静にならなかった。 「待てってば」 南雲が俺のフードを掴んだ。見たこともないような困った顔をしている。もらったラブレターを俺に自慢した先程のあの嬉しそうな顔とは正反対だ。 「…帰んなよ」 弱々しい声に、思わず笑いが漏れた。怒り続けるって思いの外難しい。 「…携帯忘れたから取りに帰るだけだよ。あれ、帰って欲しくないのか?」 からかうように、にやにや笑いながら言う。ぼっと顔を赤くした南雲は、帰れ、とでかい声で言うと俺を外に追い出してドアを閉めた。鍵をかけられた扉を開けてとノックしながら、また笑う。 「素直じゃねーな」 2011/02/11 00:00 |