君のためなの




鏡の前に立って、二つに縛った髪の毛をほどく。大分長くなった髪だが、女の子らしさなど皆無だ。ただ伸ばしているだけ、という印象の方が強いだろう。溜め息をつけば、鏡に映る自分もがさつに溜め息をつく。
「女の子らしいか…」
長い髪を適当に三つあみにしていく。案の定だろうか、不器用なオレの三つあみはやはりぐしゃぐしゃだった。
「はーあ…」
小さく溜め息をつく。今日春奈にやってもらった三つあみとは比べものにならない。自分は女の子らしくなりたいのだ。昔はあんなに嫌がったスカートを、今では自ら着ようかとすら思っている。
「南雲はやっぱり、女の子らしいほうが好きだよな…」
小さく呟いた声は直ぐに消えた。恋って怖い。



2011/02/11 09:10






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