馬鹿だな、ってふて腐れた顔をしたきりちゃんと、申し訳なさから無言になってしまう私。いつもと逆の光景に、しんべエがちょっとだけ目を丸くした。 「乱太郎、何したの。」 「不運委員会の乱太郎君が怪我をしていた人を見かけて治療してたら、実はそいつが忍術学園に恨みを持っている奴で、危うく一大事になっていたところでした。ちゃんちゃん」 「…ご丁寧に説明ありがとうきりちゃん」 本当に、あの時きり丸が来てくれなかったらどうなっていたのだろう。私の首に当てられた苦内は、一年の頃に比べて飛躍的に成長した彼の手裏剣に跳ね飛ばされたのだ。 「乱太郎はお人よしだね」 しんべエが朗らかに笑う。それを見て、きりちゃんは漸く表情を和らげた。いつも私、こんな感じなのかな。 「でも、だからきり丸が乱太郎を好きになったんだろうねえ」 さらりと言ってのけるしんべエに、きりちゃんと私はどうも言い返せなかった。 110226 ← → |