キセキ黒(黒バス)



※クズでゲスなキセキ
※本当すみません
※無理矢理表現注意



最近、少しずつ周りがおかしくなっていると感じていた。バスケがつまらなくなりつつある青峰君だとか、目が回りそうな位のスピードで成長する黄瀬君だとか、3Pシュート率が格段に上がった緑間君だとか、目つきが鋭くなった紫原君だとか、以前とは違う指揮をとる赤司君だとか。彼らが各自で成長していく間に、僕のパスはいらなくなっていったのは確かだ。けれど、これは何だ。分からない、分からない。僕はただ、いつも通り体育館倉庫でボールを片付けていただけだ。
「黄瀬、手首しっかり抑えてろ。」
「了解ッス。赤司っちの次は俺やりたい…ってうわっ!黒子っち手首ほっそ!」
けらけらと厭らしい笑い声が耳元で響いた。強く握られた手首が、じわりじわりと熱くなる。後ろから僕を抱き込んでいる黄瀬君の息が首筋にかかった。照明のない暗い部屋での明かりは、唯一窓から差し込む外灯の光だけだ。
「なにを」
声が震えているのが分かった。試合中に野次をとばされた時も、二軍の部員に文句を言われた時も、柄の悪い高校生と対峙した時も、こんな風に心臓は揺れ動かなかった。淡い光に照らされた、ハーフパンツから伸びる自分の足が、いやに白く見える。
「何をって、今更何を言っているのだよ。」
低い声が上から降ってきた。床に押し付けられた僕を見下ろす目は、最近試合中によく見せる目と同じだった。
「テツ、自分でもわかってんだろ。もう俺らにはパスなんかいらねえ。パスが無くても勝てるんだよ。」
心臓がぎゅうと握り潰されるようになった。刺すような鋭い痛みが胸に広がっていく。彼の表情はよく見えなかったが、薄く笑っているようだった。
「そーなった今、黒ちん、自分の役割わかるでしょ?メンバーを影で支えるってのは、こういうのも含まれてんじゃないの?」
彼は扉の鍵を閉めると、ゆっくり振り返ってそう言った。分からない、彼らが言いたいことが、分からない、分かりたくない。
「僕らは、チームメイトでしょう、」
目の前に立つ赤司君を見上げてそう言えば、周りから静かな笑いが漏れた。彼らは何を笑っている?何がおかしい?僕がなにかおかしいことを言ったのか?
「正しくはチームメイトだった、だね。今やお前の有効な活用法と言えばこれしかないこと位理解してるだろう。」
赤司君がしゃがんだかと思うと、次の瞬間彼は僕に覆いかぶさった。生暖かいものが、首筋をぬるりとなぞる。
「赤司く、なに…っ」
彼を押しのけようと手首を必死で捩ると、黄瀬君はにやにや笑いながら一層手にこめる力を強くした。圧迫された血管の動きが手の平に伝わる。足をばたばたと動かしもがくと、緑間君が溜め息をついて僕の足を抑えた。
「何するんですか、やめて下さい!」
誰か外にいる人に聞こえるようにと声を張り上げて言った瞬間、口の中に指が突っ込まれた。舌がぐいっと摘まれる。
「黒ちんうるさいってば。ちょっと静かにしてなよ。」
「ん゙ん!」
「あれ、なんかこの状態で黒ちんが喋るとベロがぐにぐにしてグミみたい。おもしろー。もっと喋っていーよ。」
彼の長い指が舌の側面をなぞる。その度に、太ももの裏側がぞわぞわと疼いた。
「そのまま舌掴んでろ。なんならもう口に突っ込むか、青峰。」
「今舐めさせたら絶対噛むだろテツは。もうちょい抵抗なくなってからだな。」
赤司君の細い指が、僕のシャツのボタンを外していく。ボタンが一つ外れる度、身体の底から重くどす黒い不安が込み上げてきた。じっとりした汗が肌をつたっていく。生暖かい風が髪の毛を掬う。二人に抑えられた体は、いくら目茶苦茶に揺らして抵抗してもピクリともしなかった。
「わかるだろ、」
目の前の視界が、くらくらくらくらと、光ったり暗くなったりを繰り返す。赤司君の舌が首筋を舐め、鎖骨を舐め、胸を舐めた。指先がぴくりと震える。また黄瀬君がけらけらと笑った。
「赤司っち、俺も早くやりたい。もう前戯とかいいからいれちゃってよ。ちょっと位痛くったって大丈夫っすよね?黒子っち、強いもんね。」
黄瀬君が、息をわざと僕の耳に吹き掛けながら言った。思わず首を竦めるが、更に彼は僕の耳をかぶりと噛んだ。
「ひっ」
舌をつままれている為か、小さく情けない声しか出ない。紫原君は僕の舌を2、3回指で押すと、ふっと笑った。
「いれちゃえば。もう好きにして欲しいって顔だもん。」
彼は音を立てずに、口元だけで笑った。違うと声に出すことも出来ず、体を揺すろうにも動かない。どうしてだ、いつから、いつから彼らはこんなことをするようになった。できるようになった。
「抵抗してもいいが、テツヤ、お前がこれから試合に出れるかは全部俺が決めるんだぞ。」

どうして、どうしてだ。

「お前の人生は、俺が決めるんだ。」

目に篭った熱が、僕の冷え切った体を見た。


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ごめんなさい


2012/07/16 18:45






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