南♀円 ※同じチーム ※3期っぽい 「もしよかったら、やるよ。」 そう言って投げられた包みからは、甘い匂いがする。彼女を見れば、少し目を逸らして笑っている。そういえば今日はそんな日だったな、と思いながらも、ありがとうと笑う。もしかして、これって本命?とほんの少し期待した心は、そのあと他のメンバーにも手渡す彼女に打ち砕かれた。 部屋に帰ってみると、中には小さく不格好なトリュフがころりと3つ並んでいた。ココアパウダーを塗したもの、ナッツを振り掛けたもの、アラザンが塗されたもの。そのどれもがチョコレートを抱えて悪戦苦闘する彼女を思わせるもので、思わず笑ってしまった。一つ口に含むと、店先に並ぶそれのような滑らかさはなく、甘いだけだったけれど、何だかまた笑えた。 次の日、廊下を歩いていると円堂が声をかけてきた。快活な挨拶のあと、もごもごと口を動かして、小さな声で「どうだった?」と彼女は言った。 「うまかったよ。」 そう返すと、彼女はぱあっと顔を明るくすると、嬉しそうに笑って、頬をかいた。 食堂へ入ると、既に来ていた壁山と緑川がこちらを見て、唇を尖らせた。 「キャプテン、あのチョコどうしたんすか!」 「そうだよ、ラッピングしてあるから手作りかと思ったら、中身は市販じゃないか!しかもサッカーボールチョコってさあ。」 隣の円堂はこちらを見ずに、さっと二人のところへ向かって笑いながら謝罪をしていた。髪の隙間から、赤い耳が見える。 え、あれ、もしかして本命なの? ---------------- バレンタイン!!!! 2012/02/14 22:28 |