ケニスタと愉快な仲間達



※数年後


「今日放課後暇?」
間のぬけた声のケニーがそう言っただけで、スタンは顔をぱああっと乙女のように輝かせた。このゲイ共が、とカートマンが顔を歪ませながら汚い言葉を吐き捨てる。しかし二人の世界に入った彼らにはそんな言葉は聞こえないらしく、カートマンは腹立たしげに舌打ちをした。
「おお、暇。」
スタンの声はいつもより数段跳ねていた。彼の首にずらしたヘッドフォンからはよく知らない国の言葉がずんちゃずんちゃと一定のリズムを繰り返しているのが聞こえる。スタンは意外とマイナーな曲が好きで、よく名前も知らない曲を勧めてくる。それがケニーの影響だと知ったのはつい最近だ。(ちなみにケニーはマイナーな曲を好んでいるわけではなく、ただCDショップで安いものを選んでいるだけだそう。)
「僕ん家来ない?」
背がすらりと伸びたケニーは、昔と変わらずフードを被っている。肩からずり落ちそうなディパックにはペンケース以外何も入っていないのだろう。カートマンは既にあの二人のやり取りを無視してロッカーに荷物を詰め込んでいる。甘い空気に居心地の悪さを感じていた僕もそれに倣った。
「…あの二人ってさあ」
「おいらはゲイはからかうか放置するしかないと思ってる。」
カートマンが心底面倒臭そうな顔でそう言った。ちらりと二人を見ると、何やらにこにこと満面の笑みで話している。二人ともあんなキャラだったっけ。でも、何だかすごく幸せそうだ
「…いいなあ。」
そう呟くと、カートマンは一瞬動きを停止して、それから「おいら以外なら自由に好きになれよゲイカイル」と言った。
「心配しなくてもカートマンは最初から対象外だよ。」
そう言ってやると、カートマンはふんと鼻で笑った。横目でスタンを見てケニーを見て、それから溜め息をつく。変わらないものなんて無いのかもなあ、なんて哲学的だね。



2011/03/27 01:24






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