臨帝※パラレル



教師帝人と生徒臨也

「遅くなったから送っていくよ」
ちんたらとしたスピードで書き終えた反省文を渡しにいくと、彼は幼い睫毛をぱちりと揺らして言った。女子でもあるまいし、と言ったところで彼の気持ちが変わるとも思えない。素直に甘えることにして、自分の目線と同じくらいにあるあるつむじをじっと見た。
「ありがと先生、優しいね。」
「教師として当然だよ。」
しんと静まった廊下を二人で歩く。今日はなぜだかいつものように喋る気にもなれず、また彼もよく話す方ではないので、無言のままだ。ふと窓の外を見ると、星が光っていた。わあ綺麗だなんて思うロマンチストでもないので特に感想はない。ただ、彼は違ったようだ。
「今日は星がよく見えるね。」
ざりざり、スリッパと床が擦れる音がした。彼の声はいつもより弾んでいる。
「…そうだね。」
「今度プラネタリウムでも行こうか。」
「二人で?」
「冗談だよ。」
くつくつと笑う彼は俺の気持ちを知っているのかいないのか。無性に腹が立って彼を後ろから羽交い締めにしてやろうかと思ったが、彼の笑う顔を見ると何とも出来なくなった。
「…行こうよ。」
そう呟くことしか出来ずに、それも大きな声では言えなかっただなんて柄じゃないし、新羅に言ったらまず馬鹿にされる。臆病だと自分の頬を軽く叩くと、彼は不思議そうに目を丸くして、それから笑った。




2011/03/21 20:42






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