藤アシ



「好きだとか、そう言うのって俺らには今更って感じだよな。なんか白々しい気がする。」
今日も今日とてイケメンを振り撒く藤君がぽつりと呟いた。唐突な言葉に驚きつつも、彼の言わんとしていることが大体僕には分かる。「お前らは老夫婦か」と美作君に言われた時に「ご冗談を」と真顔で返したら藤君に泣かれたことをふと思い出した。やあ懐かしい。
「…本当にそうだったら格好いいけどさ。」
藤君を見ると、なんだか笑えた。赤い顔はいつもの藤君と違う印象だ。皆藤君を大人っぽいって言うけど、寧ろ子供っぽいと思う。彼の頬をなんとなく突くと思ったより柔らかかった。
「でも藤君の場合、好きって言うのがただ恥ずかしいだけでしょ。」
からかいの意味もこめて笑うと、藤君は一瞬動きを止めて、それから真っ赤な顔のまま僕を睨んだ。でもその泣きそうな顔では怖くないし、喧嘩をし後の小学生のようで可愛いとすら思える。
「僕は藤君が一番好きだよ。」
そう言ってもう一度彼の頬を突く。藤君はこれ以上ないくらい赤くなって、僕の胸に勢いよく顔をうずめた。
「…アシタバ、キスしていい?」
「却下。」

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男前な郁さんをリスペクトしたかった



2011/03/11 00:05






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