関係ないんですけど!

キセキと葉樹
※帝光中3年設定


「須藤、ちょっといいか」

『なんですかコーチ』


帝光中第三体育館。
男子バスケットボール部3軍マネを勤めているあたしは、コーチに手招きされて駆け寄る。


「桃井に渡す予定だった資料の存在をすっかり忘れていてな。すまないが今から届けにいってくれないか」


出来れば今日中に渡したいんだが、生憎ちょっと今手が離せなくてな。
そう真剣な目で告げるコーチは、なるほど明後日の練習試合のスタメンを誰にするか練習や休憩のひとつひとつの動きを確認しながら選別するのに確かに忙しいらしい。


『別に構いませんが、抜けてしまって平気ですか?』

「ああ、他にマネージャーもいるし、今から暫くシュート練習をさせるつもりだから、そこまで疲れもしないだろう」

『わかりました』

「よろしく頼むぞ」


そんなやりとりがあって、第一体育館に向かっているわけなんだけど。

ていうかそもそもあたしは美香がキセキの世代とかいうイケメン変人集団に喰われちゃわないようにバスケ部マネに入ったのに、「2人が同じ空間にいたらお互いがお互いを気にし過ぎてマネ業に専念できないだろう」なんて赤司くんの一言で別々の体育館に配属されてるんだから意味がわからない。
『ちゃんと仕事するよ!』って宣言したのに

「嘘ですね」
「嘘っスね」
「嘘なのだよ」
「嘘だろ」
「嘘だよね」
「嘘でしょー」
「嘘は感心しないぞ」

なんて全否定されたんだよね。キセキ解せぬ。



そんな考え事をしてたら途中でサボっている青峰くんを発見したから、言いくるめて(詳しくは別のお話で!)(メメタァ by美香)半ば無理やり体育館に引っ張ってきてみれば、珍しくびっくりした表情の赤司くんに遭遇した。



「葉樹、大輝を連れてきてくれたことは感謝するが…なかなかどうして、面白い状態で連行してきたな」

『お褒めに預かり光栄デス?』

「別に褒められてねーだろ」

『いいから青峰くんはとっととアップする!』

「・・・1on1」


ぼそり、と呟かれる言葉。


『へ?』

「後で俺と1on1しろ。やるんなら大人しく練習に参加する」


思いのほか真剣な眼で告げられる。


『別にいいけど、多分すぐくたばるし瞬殺されるよ?』

「今の言葉覚えとけよ、」


そう宣言して美香たちの方に合流する青峰くん。
ってか黄瀬くん美香にくっつきすぎなんだけど後でシバく。


『・・・なんで極弱のあたしと戦いたいんだろう?』


キセキの世代、それもアンストッパボースコアラーの青峰くんにあたしが相手になるわけがないのに!!!意味わかんない!


「葉樹のプレイスタイルが独特だからじゃないかな」

『あ、ごめんね赤司くん、練習の邪魔して』

「いや、丁度休憩に入ったところだったからね。別に構わないよ」


それに此処に来たってことは何か用があったんだろう?そう告げる赤司くんは何もかもお見通しって感じでそのガラス玉みたいに綺麗なオッドアイが偶に怖くなるよ。


『うん。3軍コーチからさつきに渡しておいてって頼まれたの。ちょっとお邪魔してもいい?』

「練習が再開するまでなら構わないよ」


ああ、ついでに涼太を諫めて貰えると嬉しいんだが、そんな願ったり叶ったりの申し出には2つ返事で了承の意を示す。



『黄瀬くん、いい加減にしないと黄瀬くんのプロマイドに落書きして駅前で配布するよ』


紫原くんに美香をとられてモデルとは思えない顔をしている黄瀬くんに声をかけつつ、ぺしりと控えめに額をはたいておく。


「なにその地味な嫌がらせ!うわーん、葉樹っち酷いっす!」

『黄瀬くんが美香を離さないからでしょ!』

「今は俺じゃないっスよ!サベツだ!!」

「うるさいのだよ黄瀬」

『緑間くん、いつも美香を助けてくれてありがと・・・』

「べ、べつに黄瀬に騒がしくされると迷惑だし、美香がマネ業を行ってくれないと俺が困るからというだけであって、おまえでも美香のためでもないのだよ!!」

『うん、緑間くんの為だとしても、それで美香が助かってるのには変わりないから。だから言わせて?本当にありがとう』


緑間くんのツンデレが絶賛発動中だけど、彼がいなかったらとっくの昔にきっと美香は黄瀬くんに押し倒されてR18な展開になってるもん・・・!!!


「さすが葉樹ちん、ツンデレ殺しだしー」

『え、なんかしたかな。というか紫原くん、赤司くんこっちに向かってきてるからそろそろ美香降ろした方が・・・』


てか、あたしはさつきに用があったんだった。
赤司くんに捕まる前に行こっと。



『さつき、コーチから資料を渡してくれって言われたから持ってきたよー』

「わ!ありがと葉樹!葉樹が持ってきてくれるなんて幸せ!」

『あたしもカワイイさつきに会えて幸せ』


頑張るさつきの笑顔が可愛くてつい頭を撫でてしまえば、真っ赤になって固まってしまった。
はっ、流石に同い年の女に撫でられるのはイヤか!!ごめんよさつき!!!!


「葉樹、1軍の大事なマネージャーを誑かすのはやめてくれるかい?」

『赤司くん、そんな誤解されそうな言い方ヤメてよ…というか赤司くんこそ美香のこと誑かさないでくれない?』

「ふ、嫉妬かい?」

『どこがどうしてそうなった』


いや、赤司くんをはじめとしてキセキのみんなかっこいいけどね。美香とさつきもいれば超絶美男美女集団だけどね。


「安心してくれ。いつだって僕の一番はオマエだよ、葉樹」


そうにっこり微笑んで言ってくれたけど、目!!目がなんか怖いから!!しかもどことなく色っぽい!!



『あ、ありがと!じゃあ用事は済んだしまたいつか!』

「おや、まだ話は終わっていないぞ」

『っ、うわ!?』




脱兎の如く3軍体育館に戻ろうとすれば、アンクルブレイクをかけられた。
ええーーー今バスケの試合中じゃないんですけど?!能力の無駄遣い!!


「ふふ、ほんとうにおまえは僕の思い通りにはならないね。だからこそ燃えるし―――屈服させたくなるよ」


近づいてきて頬を捕まれ、綺麗なオッドアイに覗き込まれながら熱っぽい視線と甘い声でそんなことを言われるから数秒硬直してしまった、けど。



『―――あたしが屈服するのは、美香だけよ』



きっと睨み返して宣言して、でもそのあとのことを考えると怖いから、赤司くんが固まったのを見計らって体育館を抜け出した。
青峰くんが「おい、1on1の約束しただろ!」って叫んでるけど、今はそれどころじゃない!帰りにストバス行くから許して!!!!

そして美香が黄瀬くんにちゅーされてる!!許すまじ!!と思って去り際に緑間くんよろしく黄瀬くんの頭上に3Pシュートキメたあたしは悪くないよね。うん、我ながら中々距離があるにしてはナイスコントロールだった。



「ふふ、本当に美香も葉樹も、僕の思い通りにはなってくれないね」

「もー、赤司くん遊びすぎ!」

「ふふ、反応が面白くてつい、ね」




やっぱり美香を独占したり、あたしをからかって遊ぶキセキなんて嫌いだ!!!!






1軍と関係ないんですけど!
イケメンならなにしたって許されると思うなよ!






「ん?葉樹?んな急いでどこ行くんだよ」

『っ、祥くん!!』

「っと、危ねぇな!いきなり抱き着いてくんなよ!」

『バスケ部であたしの癒しはさつきと祥くんだけだよぉぉぉお』

「俺もうバスケ部じゃねぇって!・・・でもまあ、なにがあったか知らねえけどオツカレサマ?」

『祥くん大好き・・・』

「簡単に大好きとか言ってんじゃねぇよ!ま、俺も葉樹のこと嫌いじゃねぇけど(なでなで)」

『キセキのみんなはあたしのこと嫌いだから唯一の癒しだよ(ぐすん)』

「ハッ、俺だけは味方でいてやるっつってんだろ。だから落ち込むなよ(好意と好奇心が裏目に出てるキセキざまぁwww)」











3軍専属マネージャーなのになんやかんやでキセキに絡まれてなんでそんな興味ない人間に絡むのアンタらが興味あるの美香だけでしょ解せぬと思ってるけどさつきも美香もかわいいしまあいいかでもキセキてめーらはいつかセクハラで訴えるからな。な葉樹ちゃん。
灰崎くんが出張ったのは仕様です()







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