〜青春徒然番外篇〜 | ナノ
***芥川視点***
「…いけない、寝ちゃったC〜」
美香に俺とっておきの昼寝場所をみせるだけのつもりだったのに…
やっぱり此処は眠気に誘われちゃうなあ。
部活に行こうかな、多分跡部は怒ってるけど。そう思って目を開くと。
『…スー、スー……』
「うわ、あ………!」
美香もお昼寝してたんだ!
それにしても寝顔かわE〜!
こっくり、こっくり。
船を漕ぐたびに揺れる首が危なっかしく感じて、思わず頬を掴んで首を固定してみる。
「柔らかいC〜」
これは決して美香が太ってるとか、そういう意味じゃなくて。
潤いのある、って言ったらいいのかな?取り敢えず肌触りのいいほっぺただってこと。
頬を抓ってみても、鼻を摘んでみても、少し身動ぐだけで少しも目を覚まさない。
此処が気持ちいいってのもあるけど、やっぱあまりよく眠れてなかったんだね。
葉樹の言う通りだったC。
でも俺、ちゃんと任務完了したよ葉樹!
(まあ俺まで寝ちゃうのは予想外だったけどね、へへっ)
「ちゅーしちゃうぞー、なんちゃって」
全く起きない美香にちょっとつまらなくなって、悪戯しちゃおっかなー、とかちょっと思ったり。
それで冗談でちゅーしちゃうぞ、なんて言ってみたけど、寝てるから当然なんだけど全く反応なし。
つまらないなあ、でも綺麗な寝顔だなあ…
もっと近くでみたいな、そう思って顔を近づけた矢先。
『…う、ん………っ!?』
「おはよう、美香」
『じ、じじじじジロちゃん!?(顔近っ!寝起きのイケメンは心臓に悪いよぉぉぉおっ!!!)』
「あはは、すっごい慌てようだC〜」
『な、なにこの状況』
「美香の寝顔がかわE〜からみてたんだよっ」
『か、可愛くないよ!ジロちゃんのほうが可愛い!』
「A〜俺男だから可愛いって言われても嬉しくないC〜」
やっぱ格好いいって思ってほしいな、そう不満に思った俺がちょっと悪戯ってことで再び美香に顔を近づけたとき。
「……ほう。部活になかなかこねえから俺様が直々に探しに来てやったらこんなところで仲良くイチャついてるとはいい度胸だなあ」
「あ、跡部!」
『げ、跡部!』
「美香、げっとはなんだげっとは」
『い、いやあ、あはははは、そんな怒らないでよ景ちゃん!細かいこと気にするとハゲるよ?』
「怒らせてるのはオマエとジローだがな、現在進行形で!」
う〜ん、確かに今回は葉樹に美香のことを頼まれたのが嬉しくて、俺は浮かれちゃってたかも。
「跡部、ごめん!今日は流石に反省してるよ」
「………ふん、わかってるならいい」
『………僕も、マネージャーなのに部員に練習をサボらせる結果を招いてしまってごめんなさい…。しかも他校で寝ちゃったよ…』
「寝れたのか?」
『?うん、風が気持ちよくて涼しかったからそりゃもうぐっすりと』
「ならいい」
『はい?』
うん、多分跡部は昨日美香があまり眠れなかったみたいだって話を知ってるんだね、流石だC〜。
「取り敢えず部活に行くぞ」
「はーい!」
「美香も行くぞ」
『え?僕偵察に来たのにこんな堂々と招かれちゃっていいの?』
「美香こそそんなに堂々と偵察しに来たことバラしちゃだめだよ〜」
『狽ヘっ、しまった!』
あはは、やっぱ美香ちゃんは面白いなあ!
「ふん、青学如きに一日偵察されようが俺たちには関係ねえ」
『むっ、青学如きとはどういう意味だよ景ちゃん!』
「偵察されたぐらいで負けるような俺様たちじゃねえんだよ」
『………むぅ』
「いいじゃん美香!俺美香が居てくれたらいつもより頑張れるC〜!」
だっていいところ見て欲しいもんねっ!
『…ジロちゃんがそういうなら』
「おい、なんでジローに対しては素直なんだ」
『仲良しだからっ!ねー!』
「ねー!」
そう笑いあって、手を繋いでコートに向かう。
不意に後ろを振り返ったら、跡部が溜息をつきながらも笑ってたから、俺も笑い返しておいた。
それから美香の横顔を盗み見て、寝顔可愛かったなあ、なんて一人でニヤけてみたり。
うん、なんか今日の練習はいつも以上に頑張れそうだC〜!
春の陽気に誘われて
ちょっと本気でちゅーしたくなったのは秘密だC〜!
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